君は俺の運命【灰谷蘭】 (ページ11)

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「兄ちゃん出かけるの？
　今日金曜だけど…」

あの日以来、兄の機嫌は最悪だ。

「うるせぇぞ」

結局しばらく兄弟は、家にも帰らず喧嘩に明け暮れていた。

2週間経っても、ユリからは何の音沙汰もなく、
それが更に蘭をイラつかせていた。

しかしタイミングとは悪いもので、
久しぶりに家に帰れば、
お揃いのものが欲しいと言ったユリのためにオーダーしていた品物が届いていた。

「捨てとけ」

蘭はそう吐き捨ててふて寝を始めた。

本当に捨ててしまったら怒るであろう兄の気持ちを察して、
竜胆はそっと部屋の隅に隠した。

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サトシのケガは、2、3日もすれば治った。

金曜日、まっすぐ家に帰るユリを、
サトシは安心したように見ていた。

暴力になんの躊躇いもない、
罪悪感すら感じていない蘭と竜胆に、
ユリが恐ろしさと寂しさを感じたのは事実だった。

互いの半身に刺青まで入れて。
きっともう2人は私がいつか付いていけなくなる道へ進んでいる。

ただ…
理性では分かっていても、
ユリは2人を見捨てることもできないと思っていた。

「来週の金曜日、わたしお誕生日なのにな…」

2人は今どこで何をしているのだろうか…
と思いを馳せつつ、ユリは眠りについた。