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ボイス8 ページ8


次の日。
若尾さんは、仕事の覚えがだいぶ早い。私が教えた仕事を要領よくこなし、もう今は手持ち無沙汰になってしまっている。代わりに私は遅れをとっているが。
私の仕事が終わるのを待つのにすっかり飽きた様子の若尾さんは、スマホをぺちぺちと人さし指でいじりながら、口を開く。

「そういえば、藤田さんっておいくつなんですか?」

「……!?」

唐突な質問。あまり答えを言いたくない。私の年齢は、特に若くもなければ老いているというには早すぎる微妙な年齢。イコール、28歳。

無言で、気づいていないふりを続けて資料作成をする。ちらりと画面に目を向けると、「聞こえていたの気づいてますよ」と言うような目線で頬杖をつく彼がいる。

「に、にじゅうはちです」

カタコトで年齢を言うと、特に興味なさそうにへぇ、そうなんですかと彼はニヤニヤしている。興味ないなら聞くなよ、と思ったし、普通に恥ずかしい。


「同い年ですね」

「えっ」

「俺も、28歳」

全然見えない、という言葉を飲み込む。彼は明らかに童顔で、20代前半のイメージがあった。

「急に年齢聞いて、ごめんなさい。よく考えたら失礼でした」

バツの悪いような顔をして、彼は下を向く。

「あっ……いや、全然です!ていうか、同い年だったら敬語じゃなくても大丈夫ですよ」

「え〜、でも教育係の人に急にタメ口もなぁ」

「あ〜、うーん、それなら私もタメ口にするので、気にしないでください……ふふ」

なんだか既にタメ口のような口調で話す若尾さんがおかしくてクスクスと笑い声が漏れる。
オンラインで顔と口調しか知らないのに、仲良くなってきたのも面白くて、また笑った。

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設定タグ:ジャック・オ・蘭たん , 蘭たん , ナポリの男たち   
作品ジャンル:恋愛
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メタ子(プロフ) - トゲピーさん» 返信遅くてすみません!!ありがとうございますーー!!!!!! (2022年5月3日 23時) (レス) id: 304efcf4b3 (このIDを非表示/違反報告)
トゲピー - はーー!すきーーー!天才かよーー!!! (2022年4月3日 22時) (レス) @page45 id: 82454dfd4a (このIDを非表示/違反報告)
メタ子(プロフ) - 咲世さん» コメントありがとうございます!次回作頑張りたいと思います…🤗💕 (2022年2月23日 17時) (レス) id: 304efcf4b3 (このIDを非表示/違反報告)
咲世(プロフ) - 完結お疲れさまでした!この作品の蘭たんとても好きです!次回作も気長に待ってます! (2022年2月23日 14時) (レス) @page42 id: d952fb547f (このIDを非表示/違反報告)
メタ子(プロフ) - しいなさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてうれしいです…!気長に待っていただけるとうれしいです〜🤗 (2022年2月23日 11時) (レス) id: 304efcf4b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:メタ子 | 作成日時:2021年6月11日 1時

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