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真佑さんのサーブから始まった相手の攻撃。
真佑さんのサーブも結構良かったけど、ボールはきっちりセッターに返った。
くる·····!
ディグに入る体勢で構えていると、相手アタッカーが打った強烈なボールが私に向かってとんできた。
だけど、コースにはしっかり入ったと思ってたのにボールが速すぎて、わずかにタイミングが合わない。
「っ!!」
顔の右側に衝撃を受けて、そのまま後ろに倒れ込んだ。
なんつう馬鹿力·····。
なんて考える余裕はあったけど、ボールが当たった瞬間の衝撃がまだ残っていて軽く視界がチカチカする。
でも脳震盪はではなさそうだから、このままいける。
心配そうに見つめるベンチに、大丈夫と合図を送ってコートに戻った。
そのまま相手チームのリードは変わらず、10-14で迎えた相手のマッチポイント。
緊張の瞬間。
相手選手がサーブを打ってくる。
真佑さんがサーブレシーブをしてセッターに返すと、それを紗理那さんが打った。
だけどそれは拾われて、相手の攻撃に。
相手が打ったボールは思ったよりも伸びて、エンドラインを超えた。
ように見えたけど。
「あ·····っ」
無情にも、ボールはラインギリギリでイン。
その瞬間、主審の吹くホイッスルとネットの向こうから歓喜する声が聞こえた。
頭の中が真っ白になる。
終わってしまった。
負けてしまった。
私が、判断を誤ったから。
絶望的な感情が波のように押し寄せてきて、全身に力が入らない。
ペタリとその場に座り込んでしまって、立ち上がることが出来ない。
私のせいだ。
情けない。悔しい。悲しい。みんなに申し訳ない。
いろんな感情が一気に湧き上がってきて、今にも涙がこぼれそう。
でも私が泣くのは違う。
ここまで何年もかけてチームを作り上げてきた紗理那さんや先輩たちのほうが、泣きたいくらい悔しいはずだ。
今回初めて代表デビューしたような新人がメソメソ泣くもんじゃない……!
そう言い聞かせて、涙かこぼれないようにグッと唇を噛んだ。
ジワリと血の味が口に広がる。
ああ、そっか。
さっきボールが当たった時に切れたんだった。
古賀「A。行こう?」
「紗理那さん……っ。ごめんなさい」
古賀「なんでAが謝るの。この結果は、点を取れなかった私たちの責任だよ。Aはよく頑張ってくれた」
だから胸張って!
と紗理那さんに抱き抱えられながら立ち上がると、我慢していた涙が静かにこぼれ落ちた。
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めー(プロフ) - たかみさん» 女子悔しかったですねー(>_<)少しの間、何も考えられませんでした·····。楽しみにしてくださってありがとうございます!藍くんとの絡み、もう少し増やしたいと思ってます(*^^*) (10月11日 12時) (レス) id: 59b863f10c (このIDを非表示/違反報告)
たかみ(プロフ) - 女子悔しかったなとか色々思い出しちゃいました。。これからの藍くんとの絡み期待してます。更新楽しみにしてます! (10月11日 8時) (レス) @page13 id: 1bef4440db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めー | 作成日時:2023年10月10日 0時