Hope

４５． ページ47

スタッフでごった返す通路を、係の人に案内されて進む私たち。

すれ違う人みんなに｢あっ、お疲れさまです！｣と頭を下げられて、そのたびにこっちもペコペコ頭を下げてたらなんだか頭がクラクラしてきた。


紗理那｢Aはお辞儀が丁寧すぎるんだよ(笑)｣


そんな何度も頭ブンブン振ってたら誰だってくらくらするよ、と紗理那さんに笑われた。


スタッフ｢こちらに選手のみなさんがいらっしゃいますので、どうぞお入りください｣


コンコンとノックをして｢女子日本代表のみなさんがいらっしゃいました｣と声をかけると、ちょっとしてからガチャリとドアが開いた。

現れたのは、キャプテンの石川さん。
久しぶりに近くで見たけど、やっぱり大きいなー。


祐希｢あ、どうも。入ってください｣


どうぞ、と促されて、紗理那さんを筆頭にぞろぞろと控室に入る。
そこには、さっきまでコートに立っていた選手がいた(当たり前だけど)。
皆さんに挨拶をしていると、リベロの小川さんとパチと目が合う。


｢あっ……お疲れさま、です｣

小川｢お疲れさま〜。今日は応援ありがとうね｣


小川選手、初めてお話しするけど思ってたよりポワンとしてて話しやすい人だな。
年上相手に失礼かもだけど。


小川｢ね、桜井さんから見て今日の僕どうだった？｣

｢えっ？｣

小川｢同じリベロの桜井さんから見てどうだったか聞きたいなーって思って｣

｢え、っと……そうですね、ディグのコースの読みとか正確でしたし、レセプションもですけどレシーブ全体のコントロールが流石だなって思いました。そして何より、あの豪速球を安定して拾える体幹の強さに痺れましたね……｣


最初はちょっと遠慮してたつもりだったけど、試合を思い出しながら感想を伝えているとだんだん熱が入ってきて、身振り手振りで感想を伝えていた。


小川｢うわー。今をときめく火の鳥NIPPONの守護神にそこまで言ってもらえるなんてなあ。ありがとう｣

｢いえ！こちらこそ偉そうに好き放題言っちゃって……｣

小川｢ううん。そこまで褒めてもらえると、今までリベロとして頑張ってきて良かったなって思う｣


これ褒めてくれたお礼ね、と小川さんが差し出したのは一口サイズのチョコレート。


小川｢チロルチョコじゃなくてごめんね｣

｢えっ、私がチロルチョコ好きなの知ってるんですか？｣

小川｢藍が言ってたよ｣


藍くん……そんな話を皆の前でしてるの。
他にも何か話してるんじゃないかとちょっと不安になる。

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