Hope

２９． ページ31

二千華｢やったー。１セット先取！｣

紗理那｢スタートはいいのよ。魔の３セット目なんて言われてるからまだ気は抜けないぞ〜｣

｢藍くんのレセプション、うますぎる……｣


１セット目を終えて一息ついて、力がこもっていた体をふぅ、と緩める。
藍くんはやっぱり攻守ともにバランスよくうまくて、本当に身体能力高いんだな〜と感心しちゃった。


紗理那｢藍くんが代表に入ったことで守備も安定して、祐希さんは攻撃に集中しやすくなったよね。彼がいてくれて本当に良かったと思う｣

｢えっへへ。そうだと嬉しいですね｣

二千華｢Aほんとに嬉しそう(笑)｣

紗理那｢でも気持ちわかるよ。私も夫がエースなんて言われて久しいけど、チームに貢献してるんだなってわかると嬉しいもん｣

二千華｢西田さんは体調不良で辛い時期もありましたからね。復活して本当に良かったですよ｣

｢そうですよね。西田さんは今の龍神NIPPONに無くてはならない存在です｣

紗理那｢それは藍くんもだよ｣

二千華｢あ〜、なんかここだけ幸せオーラ漂ってて私だけのけ者〜。……そうだA、バナナマフィン食べよ！｣


２セット目始まる前に出そうよ、と二千華さんが言うので、用意しておいたトレーにのせて３人分のマフィンを持ってきた。


紗理那｢わ！美味しそう！これAがつくったの？｣

｢はい。味見はしてるので大丈夫ですよ｣

二千華｢食べよ食べよ！｣


３人で椅子に座って、いただきまーす、とマフィンを頬張る。
ほんのり甘くて、しっとりした食感がたまんない。
うん。我ながらめちゃくちゃ美味しくできたと思う。


紗理那｢うまっ！なにこれ！お店で売ってるやつみたい！｣

二千華｢うまー。これやみつきになりそう。彼氏に食べさせてあげらんなくて残念だね｣

｢まあ、そこはそのうち。時間があったら作ってあげたいですね｣


マフィンは紗理那さんにも二千華さんにも大好評で、作ってよかった〜って思った。


試合は藍くん、西田さん、石川さんの活躍はもちろん、小野寺さんと健太郎さんのブロックやクイックも決まってストレートで勝利した。


紗理那｢よかったね。みんなエジプト戦からうまく切り替えが出来たみたい｣

二千華｢なんか吹っ切れた感じありますよね。よっし。勝っていい雰囲気のままインスタ更新しよっと♪今回はめいっぱい写真のせちゃおー｣

紗理那｢私もー｣


二人がスマホをポチポチする様子を、私は変なこと書かないでねと祈りながら見守るだけ。

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