Hope

１６．《OQT男子初戦．vsフィンランド》 ページ18

｢ドキドキしますね……｣

古賀｢自分が試合に出たときと、どっちがドキドキする？｣

｢こっちですね！｣


男子大会の初戦はフィンランド戦。
チームメイトであり、代表でも一緒だった紗理那さんと一緒にみんなの応援にきた。
憧れの紗理那さんと一緒とか、嬉しすぎる……。


紗理那｢その様子だと、もう吹っ切れたみたいだね｣

｢えっ？｣

古賀｢A、すごく落ち込んだ顔してたから。一人で責任感じすぎ！って思ったけど、それがAなんだよね｣

｢あはは……すみません。でももう大丈夫です。前を向かないと、強くなれませんから｣


励ましの言葉を掛けてくれたみんなの気持ちを裏切らないためにも、これからは前を向いて頑張らなくちゃ。


古賀｢あ、みんな出てきたよ｣

｢わー……｣


ついこの間まで私たちが戦っていた場所に、今は藍くんたち男子代表が立っている。


｢藍くんも西田選手もスタメンでしたね｣

古賀｢初戦は大事だからね。ここはベストメンバー出してくるよ｣

｢藍くん、がんばれ……！｣


私の声は会場の声援にかき消されて届かないけど、祈るように背番号１２を見つめて勝利を願った。



ーーーーーー


男子は初戦から波乱の展開。
２セット先取したけど、その後相手チームに２セットを取られてファイナルセットにもつれ込んだ。


劣勢だった後半。
小野寺さんのサーブで始まったラリーを、大塚さんのアタックで相手のミスを誘って逆転に成功！

会場は一気にボルテージが上がって、流れが日本に向いてきた感じがした。


｢頑張れ……！｣


あと２点！
祈る手にぎゅっと力がこもる。

藍くんが拾って、関田さんがトスをあげて、西田さんがアタックを打つ。


｢やった！マッチポイント！！｣


日本の勝利が見えたことで、会場は熱気が増していた。


そして。

相手からの返球を大塚さんがセッターの関田さんへ上げる。


関田さんが選んだのは。


｢藍くん……っ！｣


アタックラインギリギリからのバックアタックは相手コートに勢いよく突き刺さった。


｢やったあー！｣

古賀｢勝ったね！藍くん大活躍だったね！｣


藍くんは今日、アタックはもちろん、ブロックも決めたしサービスエースも決めたし、なんかよくわかんない後ろ向きのアタックみたいなので会場沸かせるし……


｢藍くんがかっこよくて、心臓もちそうにない……｣

古賀｢それ、本人にいってあげなよ。きっと喜ぶよ？｣

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