12 ジコ ページ12
カツカツカツ...
ヒールの音を鳴らしながら私は歩く。
後ろを振り返るけど、追いかけて来てはいない。
だけど早くなる私の足。
角を曲がればパウダールームだ。
バッグからスマホを取り出して片手に持ち、ドアノブに手をかける。
と、その途端腕を引っ張られる。
気がつけばちょうど反対側の壁に背中を押し付けられていた。
その拍子にバッグとスマホが床に落ちる。
『なに逃げてんの?』
息が止まるかと思った。
会いたくなかったこの男。
いつも余裕そうに笑って。
鋭い瞳で私を見つめる。
脚が長くて背も高い。
青く染められた髪。
「ジホ...」
そう呟いた時、落ちたスマホから音楽がなる。
私はジホの腕の隙間から、ジホもそれを見つめる。
『スンヒョン?』
鼻で笑いながら声に出すジホ。
『誰?』
下を向いたまま顔を上げれない。
巻いた髪が頬を隠す。
と、その髪を耳にかけられる。
耳も顔も赤くなってビクッと反応してしまう。
『伸びたな』
そう呟いたかと思うとギュッと力を入れられて、髪を引っ張られた。
「痛いっ」
思わず顔を上げて凍りついた。
鋭い視線。
目が離せなかった。
『こんな髪、スンヒョンが好きなの?』
ジホの顔が近づいて来る。
「別に、別にいいじゃない!ジホに関係」
言い終わるまでに唇を塞がれた。
「やだっ、やめてよ」
『あ?』
ジホの体を押すと少しだけ離れる唇。
「私、これからスンヒョンと付き合うの。スンヒョンが好きなの。だからもうジホとは」
片手で顎を上げられて目が合う。
そこには余裕そうに笑うジホ。
『お前』
『俺から離れられると思ってんの?』
かぁっとまた熱くなる顔。
『Aは俺のものだよ』
そう言って微笑むジホは私を愛おしそうに見つめてる。
『離すわけねぇだろ』
そう言ってまた鼻で笑って。
熱い熱いキスが降って来る。
どうしたって逃げられる訳がない。
私だって逃げたい訳じゃない。
こうして追いかけて来てほしい。
心と体のどこかがいつもジホを求めてしまってる。
『Aも俺から離れられねぇよ』
スマホがいつまでも鳴り続けてた。
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メイベル - 1~5まで全話読ませていただきました!とても面白かったです(^-^)もしよろしければユグォンのお話をもっと見てみたいです!更新お待ちしております(_ _) (2019年12月28日 16時) (レス) id: 398ec1baa9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らん | 作成日時:2017年1月9日 23時