文化祭一日目 27 ページ1
〜結凪side〜
陽稀から離れて、私は屋上にやってきた。
扉を開けたら、そこには眩しい青空が広がっていた。
『ねぇ誰か助けて……もうイヤ、なんで私がこんな思いしなきゃいけないの。ただ好きなことをしてるだけなのになんで、なんで……ううっ、ううっ……うわーん、うわーん……』
私は、声を上げて泣いた。
辛くて、苦しくて、でも助けては貰えなくて……
私は、ただ泣き叫ぶことしかできなかった。
屋上でそうして泣いていたら、誰かの足音が聞こえた。
誰なの……
私は怖くなって、扉から遠ざかった。
扉が開いてやってきたのは、陽稀だった……
陽「結凪……」
『陽稀、どうしてここに……』
陽「お前のこと探してたら泣き声が聞こえて、もしかしたらと思ってな」
陽稀はそう言って、私の方に近寄ってきた。
ダメ、私は陽稀のことを傷つけた。だからもう一緒にいちゃダメ、ダメなの……
『それ以上近づかないで！』
陽「結凪……」
『ダメなの、私はさっき陽稀を傷つけた。あの事は、言いたくなかった。今こうしていられればそれでいいのに、それなのに私は、私は……』
陽「結凪……」
『私はもう、1人でいなきゃいけないの。そうでもしなきゃ、私はまた誰かを傷つける……』
陽「結凪、1人でいなきゃいけないなんて誰が言ったんだ」
『陽稀……』
陽「1人でいなくていい、俺がそばにいるから」
『ダメ、それはダメ！私また陽稀のこと傷つけちゃう、それはダメ！絶対にダメ！』
陽「結凪……
結凪……最初に傷つけたのは俺たちの方。だから今回のでプラマイゼロ。それじゃダメなの……？」
『陽稀……
本当は、1人は嫌。陽稀と、離れたくない……』
陽「結凪……」
陽稀はそう言って、少しずつ私に近づいてきてそっと私を抱きしめた。
陽「結凪……」
『陽稀、ごめんなさい。私、私……』
陽「結凪、もういいよ。もう大丈夫だから……」
陽稀はそう言って、私の頭を優しく撫でてくれた。
私は、安心して力が抜けてしまった。
陽「おい、大丈夫か……？」
『うん。ちょっと疲れたみたい。喉も、いたい……』
陽「そっか。今日は、保健室で休んでな。俺もそばにいるつもりだから」
『分かった。でも、模擬店の方は……』
陽「未来たちに任せるよ」
『そっか……』
私はそう言うと、目を閉じて陽稀に体を預けた。
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作者名：茉莉花 | 作成日時：2018年4月23日 22時
