short story S

6 ビボム ページ6

大人、冷静、クール、優しい、ダンスマシーン

彼のことを世間ではこう言う。
冷たいわけじゃない、でもクール。
言葉数は少ないけど大人しいわけじゃない。
面白いことも言うし笑顔も素敵。
お兄さん。ほんとにみんなのいいお兄さん。
だから彼の周りにもいい人が溢れていて、もちろん彼の彼女だってとってもいい子。


『ヒョン〜この箱プレゼントですか？』

ピオがにやにやしながら聞く。
見るからに高そうな箱にラッピングされて、どうみてもプレゼント。

『あぁ、この前貰ったんだよ。俺の誕生日に』

ミニョクがテレビをみながら答える。

『どれどれ？』
『いいなーミニョクは！優しい彼女だな』
『付き合ったばっかじゃん！いいなー』
『写真みせてもらったけど可愛かった！』

ゆぐがピオの手元を覗き込んでる。
ジェヒョが俺も彼女ほしいなーっていいながら何か食べてる。

「ミニョクの彼女は可愛いの？」

私はジェヒョの隣に座って聞く。

『可愛いよ』

ミニョクはこっちをみて答える。

目があう。

「ふーん。そうなんだ。私もミニョクオッパの彼女になりたーい」

わざとぶりっ子して言う。

『Aヌナは僕のだ！』

ピオが叫ぶからみんなが笑う。

「じゃあ私そろそろ帰るね」

ソファーから立ち上がって、バッグから携帯を取り出す。

『まだいいじゃんー』
『もうちょっといなよ』

ゆぐもジェヒョもそう言ってくれるけど今日はもうだめ。

ミニョクがこっちを見上げる。

『またな』

「またね、彼女によろしく』

そう言って携帯を持った手で手を振る。


彼らの宿舎を出てタクシーを拾い、家に着いたと同時にメールが届く。



"今から行く。ミニョク"



私とミニョクは誰も知らない秘密の関係。

彼女がいても彼氏がいても関係ない。

メンバーたちも勿論知らない。

誰も知らなくていい。

私だけのミニョクがいる。

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