short story S

27 ミノ ページ27

『なんだあれ...』

ジフンから連絡がきて、レイを探し出して、そしてらミノだ！やっぱりミノだったんだ！って大騒ぎで宥めるのに苦労して、様子を見に外に出てみたら。

あいつらイチャついてやがる。
しかも盛大に。

いや、2人が上手くいったならそれでいいんだけど。
ジフンはずっと前からAちゃんのこと想ってたし、俺だってなかなか喋らせてもらえなかったし。
優しいし男気があるしいい奴だ。
ようやくあいつが幸せになったならいいんだけど。

俺今日このあとのバイトも1人なわけ？！


なんだか無性にがっくりして疲れがどっと出る。
道端に腰を下ろして座り込む。

その時メールが届く。

"悪い"
ジフンからだ。

顔をあげると手をつないで歩いていく後ろ姿。
一瞬こっちを振り返って、手を上げてウインク。
そのあとはまたAちゃんに寄り添う。

はいはい。今日だけだからな。

顔から勝手に笑みがこぼれるのが腹たつけど。
俺だっていつか。いつか。
ジフンのように想える相手に出会いたいな。


そう思いながら腰を上げて、伸び。

さぁ、頑張るか。

そうつぶやいて歩き始める。

28 テイル→←26 ピオ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す