私／俺のこと、覚えていますか？【イナダン】

＃９ 視線 ページ11

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霧野 side



「スパークルウェイブ！」



「何っ！？うっ！」



綱海さんの必殺技。“スパークルウェイブ”。



その必殺技が出されて、俺たちは手が出せなかった。



あまりのスピードに、目がついていかなくて。



「信助！とめろぉ！！」



天馬が叫ぶ。



だけど、そのボールの軌道に合わせて、円堂監督が。



「シュートチェイン！？」



「まさか、仲間を……ボールが自分の所まで届くことを信じて！」



新生イナズマジャパンのみんな、驚くことしか出来なかった。



「ギガトンヘッド！」



それより監督ってＧＫじゃありませんでしたか！？



え！？レジェンドジャパンってＧＫがシュート決めるんですか！？



こっちのＧＫ、信助も、とめることがかなわなかった。



１点を、先制されてしまった。



すごい………。さすが監督だ。



先制された焦りよりも、こんなに大胆な策で戦ってくる相手と戦えることに対しての喜びの方が大きいと思う。



そして、試合再開のホイッスルが鳴った。



今度こそは守ってみせる！！




松風 side



この試合、今までの試合の中で一番楽しい！！



こんなに神がかかったプレイに歓声をあげているのは、観客以上に俺たちだと思う。



俺は、豪炎寺さんがキープしているボールに向かって、走る。



すると、誰かの視線を感じた。



メンバーではない、なんか、もっと冷たくて、淋しいような……。



足を止めて、感じる方向を見てみると、少女が立っていた。



試合中では、あり得ない場所に。



その子は、ぶつぶつと口を動かしていた。



俺は、不快な感覚に、肌が粟立つのを感じた。



嫌な予感がしたのは俺だけではないらしく、剣城も足をとめて空を見上げていた。



「剣城！試合中だぞ！」



そんな声が聞こえてくるけど、構ってられない。



白竜も、足をとめている。



神童先輩も、ＤＦのみんなも、レジェンドジャパンの皆さんも。



空には、歪みが生じていた。



そこから、小さな黒い影が現れ、一筋の光が放たれた。

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