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恋慕奪い愛(3) ページ3

「おやおや、探偵社のボスが直々に助けに来る程のお姫様だったとは」

後ろを見ずに森は言った。

「離れろ」

いつもの社長とは違い、殺気がすごくて息をすることも苦しくなる。

「あーこわい…まぁ、今は福沢殿を潰す切り札を持ってますが」

そう言うと森は私の首元にメスをあてた。
メスの刃の冷たさがじんわり首に広がる。

「そもそも、何故貴方が?探偵社員を寄越せばいいじゃないか」

「…」

社長は何も答えない。

「A君に聞いても福沢殿とは恋人ではないと言ってるし…1社員にここまで固執する訳は?」

「ぁ……う…ちが…」

貴方を守るためについた嘘だって言いたかったのに2人の空気が重くて怖くて言葉が出ない。

「Aから離れろ、切ったら私はここでお前の首を撥ねる。マフィアも潰す」

「夏目先生が聞いたら泣きますね、貴方が小娘に絆されてるなんて」

まぁでも、と森先生はメスをしまった。

「今のところ貴方の弱みを握れただけでよしとしよう」

「二度と触るな」

社長も刀をしまった。相変わらず殺気は放ったまま。

「どうだろうね、私も欲しくなってしまった」

低い声で森がそう言うと、私を抱き寄せて腕の中に入れた。
ガッと強い力で社長が私と森を引き剥がした。

私の腰が抜けているのを見て顔を顰めた後、担がれる。
そのまま扉へと社長は向かった。

「福沢殿がこんなにも取り乱すこの子を私が奪ったら、さぞかし気持ちいいだろうね」

「森先生には一生靡かぬ。…お互いにとって唯一無二の存在だ」

「お熱いことで。…A君、いつでもマフィアにおいで。歓迎するよ。それと…」

最後まで聞き取る前に社長は扉が閉まった。

ーーーーー
Side 森

「…歓迎するよ。それと首元につけた印が消える頃にはまた会いに行くよ」

言い終わる前に2人は消えた。

内線が鳴った。中也君だ。

『首領、探偵社の社長がさっきの娘を連れて歩いてます』

「構わない、君が敵う相手ではないし放っておけ。向こうも害は加えない。マフィア全体にも福沢殿に攻撃はするなと言っておいてくれ」

『分かりました』

内線が切れた後、ため息をつく。
…真逆、嫌がらせのために捕まえた娘に絆されてしまうとは。

白い肌、甘い匂い、怖がった目。
見つめるのは自分ではない。そのことへの確かな苛立ち。
全部奪いたくなった。

「やってしまったなぁ…」

微かに残るA君の肌触りを思い出して私は頭を抱えた。
頬には熱が集まっている。

……何としてでも彼女を堕とさねば。

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赤羽 - 最高!続きいつまでも待ってます、、二千年後も (2月23日 17時) (レス) @page25 id: 462520c403 (このIDを非表示/違反報告)
りお - 加藤めっちゃ人気やな…良かったな加藤☆ (6月13日 20時) (レス) @page25 id: 277740fe28 (このIDを非表示/違反報告)
るりら - 最高 (2022年12月25日 16時) (レス) @page7 id: db0aaa71fc (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - 加藤ー!安吾よ。((後何言うんだっけ?あれ? (2022年3月10日 21時) (レス) @page25 id: e165a9ec89 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花 - 推していても推していなくても、全てのキャラがかっこいい…素敵な作品、ありがとうございます! (2022年1月22日 13時) (レス) @page25 id: 4b25a88413 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しぐれった | 作成日時:2019年7月7日 14時

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