検索窓
今日:10 hit、昨日:17 hit、合計:153,104 hit

愛は遊戯で奪うもの【立原道造】 ページ12

「「「「王様だーれだ」」」」


全然乗り気でない私と立原くん以外の声が元気に部屋に響き渡った。
バッとすごい勢いで割り箸が消えた。(何で割り箸なんだろう)

「…………おや、序盤から引きがいいですね」

王様は首領だった。
白い箱に手を突っ込み一枚の紙を取り出す。

「…これは、うぅん」

ぺら、と紙をみんなに向けて首領は言った。
気のせいかしっかり楷書体で書かれた字は前に中也から渡された書類で…見たような見なかったような

「2番が4番の耳を舐める」

咄嗟に番号を見ると4番。

みみ、な…め………はぁ???耳舐める!?え…
びっくらぽんだわ。

「あ、2番…俺……」

おずおずと手を挙げたのは立原くんだった。
顔が真っ赤になっている。

「4番私だよ」

身長が低めの私に立合わせるように立原くんは少し屈んだ。

「汚いけど、すまん」

耳元で囁かれて擽ったい。

「んっ……いいよ気にしないで」

はむ、と立原くんの柔らかい唇が私の耳たぶを挟んだ。
どっちだろ、すごい熱い。
そのまま耳の溝をなぞるように柔らかく舌が這う。彼の吐息が私の立つ力を奪った。

「ふっ……ぅ…」

床に膝をついた私の肩を抱いて、彼はまだ喰むのをやめない。
くちゅ、と鼓膜を揺らす艶めかしい水音が今はひどく焦れったい。

「ぁ……っ…?」

びり、と電流が走るような刺激がしたかと思うと、立原くんは私の耳に歯を立てていた。
犬歯を立てられては舌先で舐め取られを繰り返し、だんだん何も考えられなくなる。
もっと……もっと…ってなんで…?


「はいストーップ」

パンパン、と首領が手を大きく叩くと立原くんはピタリと止まった。

「あっ……ごめ…」

そっと抱き起こしてから立原くんは私から離れた。
…ちょっと寂しい。


「長過ぎる…」

芥川の眉間には深い皺が刻まれていた。

「首領、俺もう少し遅かったら汚濁使うとこでした」

中原が外しかけていたであろう手袋をつけながらそう言った。

「まぁまぁ、こればかりは仕方ない」

梶井さんはそう言いながら檸檬を服の内ポケットに仕舞った。


首領はため息を1つついて苦笑いしながら言った。

「では気を取り直して行こうか」

愛は遊戯で奪うもの【森鴎外】→←愛は遊戯で奪うもの【混んだ設定たち】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (309 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1998人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

赤羽 - 最高!続きいつまでも待ってます、、二千年後も (2月23日 17時) (レス) @page25 id: 462520c403 (このIDを非表示/違反報告)
りお - 加藤めっちゃ人気やな…良かったな加藤☆ (6月13日 20時) (レス) @page25 id: 277740fe28 (このIDを非表示/違反報告)
るりら - 最高 (2022年12月25日 16時) (レス) @page7 id: db0aaa71fc (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - 加藤ー!安吾よ。((後何言うんだっけ?あれ? (2022年3月10日 21時) (レス) @page25 id: e165a9ec89 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花 - 推していても推していなくても、全てのキャラがかっこいい…素敵な作品、ありがとうございます! (2022年1月22日 13時) (レス) @page25 id: 4b25a88413 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:しぐれった | 作成日時:2019年7月7日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。