共鳴する重力【文スト】 (ページ15)

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じゅうごページ15

「ただいま」
「お帰りなさいAちゃーん！」

「首領、報告を…

「おじさんは来ないで！お姉ちゃんに加齢臭がうつる！」
「エリスちゃん辛辣～Aちゃんのために新しいドレス買ったんだよ！？コレなんてどう？色違い！」
「ドレスは着る」

…どうしたもんかな」

中也の声すら届かない様子でAを取り合うエリスと森にどん引きする太宰と困惑する中原。

そしてされるがままの少女。

「森さん今エリスがその子の事お姉ちゃんって言った？」

「あ、2人ともお帰り。そうなんだよ太宰君。身体は小さくて可愛いし見た目は8歳くらいだけど立派な12歳だよ」

「えっ」
「んんっ！？」
「そう、なの？」

太宰、中原、Aの順で驚く。

「あれ？言ってなかったっけ？この前の検診のときの結果が出たんだよ」

「初耳です首領」

「僕らの4個下の割には発達が乏しいね」

「それが良いんじゃないか…おっと間違えた。可哀想な事に栄養も睡眠ろくに摂らせて貰ってなかったみたいだね」

「寝てると、怒られる」

「もう大丈夫だから存分に寝て良いんだよー！」

「ありがとう、ございます」

ぎゅー、とエリスとAをまとめてハグする森にエリスが肘鉄を食らわせた。

ーーーーー
「今日は目一杯甘やかしてやる。
任務を頑張った褒美だ」

「甘えるって、どうするの？」

「俺にしてほしいことを言ってみろ」

食事と入浴を済ませ、ニュースを見てあとは寝るだけという時間に中也がハニーミルクを持ってきた。

うーん、と考える少女。

「なんでもいいぞ」

「えっと…」

言い淀む様子を見守ると顔を赤らめ、小さな声で
「ぎゅって、してほしい」

背丈もあるだろうが、長年の癖なのだろう。
話すときは人の顔色を伺うように上目遣いをするのだ。
途轍もなく可愛い。
何処までも庇護欲をくすぐりやがる。
お願いの内容も可愛い。

「そんな事で良いのか？」

「ちゅーやさん、一緒にいると、ここが暖かくなる」
そう言って少女は小さな掌を自分の胸元に持って行ってふわっと笑うのだ。

「そうか。俺もだ」

ソファから降りてソファの下に座っていたAの小さな身体を抱きしめる。
「暖かい、ね」

「そうだな」

暫く抱き締めていると完全に体の力を失い寝てしまった。

「やっと眠ってくれたな」
そう呟く中也はそっと異能を使って温かく柔らかなベッドへと横たえた。

出会って初めて、自分の前で寝た事に嬉しく思う中也だった。