奥の手 ページ8
あたしは竹刀を持って、蘭丸から少し離れた。
よく考えれば、こうやって蘭丸ときちんと対戦したのは初めてだ。
「ルールは戦意喪失か気絶で勝負をつける…でいいか？」
「勿論。」
本来なら剣道のルールに従うべきだろうけど
蘭丸に剣道のルールをいちいち教えては時間が足りない。
実践形式の方が分かりやすいだろう。
一瞬の静寂の後、蘭丸の声が響いた。
「はじめっ!!」
声とともに、あたしは腰を落とした。
刀を使わない以上、スピードは蘭丸の方が上。
なら。
「っ!!!!」
あたしは物凄い勢いで叩き込まれた竹刀を竹刀で受け止めた。
先手がとれないなら、掻き乱せばいい。
「はぁっ!!」
刀をはね除け、足払いをしてから一閃。
蘭丸はもたつきながらも、超人的運動能力で竹刀を避けた。
「……蘭丸は怖くない？
目の前に、自分を殺そうとした奴が居るなんて。」
あたしは言いながら竹刀を滅茶苦茶に振り回した。
「あたしは怖いよ。
あたしは一回狩屋に殺されかけた。
死ぬ程のものじゃなかったけど。
それでも、狩屋があたしを狙う理由が完全になくなるまで怖かった。」
あたしはまた、やたらと冷静になって口を動かした。
「あたしは、今でも蘭丸を襲いかねないよ？
傷だらけでボロボロになった所に、吸血鬼にとって危険な刀を突き刺せる位だから。
その事に、何の躊躇いもないから。」
「……違う、Aは……!!」
「うるさい!!!!」
蘭丸の声を振り払うように首を振り、あたしは左手を動かした。
左手で腰から抜いたものを、蘭丸の肩に突きつける。
銀色の刃を、あの時と同じように。
「あたしは、こういう人間なの。
恋人に刀を向けるのも躊躇わない。
今だって、あの時みたいに本気で刺せる。」
震えがでないように、あたしはしっかりと刀を握った。
お願いだから、絶望して。
もう、あたしに優しくしないで。
そうでないと、貴方の元へ帰りたくなってしまうから。
「ほら!!!!
さっさと降参してよ!!
今度は手加減しないから!!
死ぬよ!!!!」
心の声を掻き消すようにあたしは叫んだ。
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千桜(プロフ) - Nakamahina0805 (2019年6月12日 20時) (
レス) id: 0d6cf0666b (このIDを非表示/違反報告)
ユッカ - ものすっごく感動しました！！すっごく好きです// (2014年1月7日 9時) (レス) id: 042c3de7ef (このIDを非表示/違反報告)
*ももらんま* - 続編希望です！！この小説すごく好きです///萌えてます///続編まってます(^^) (2013年9月7日 14時) (レス) id: a263b771fc (このIDを非表示/違反報告)
闇猫(プロフ) - 遅いかもしれないけどLINEIDです。yamineko1026です！良かったらいれてください！LINEの名前は蓮藍@厨二病@奈月です (2013年8月31日 20時) (レス) id: 3e9341991a (このIDを非表示/違反報告)
藍苺(プロフ) - 初めまして！！続編読みたいです！！失礼ですが、番外編の続編も読みたいです！！ (2013年8月1日 0時) (レス) id: 45daca7612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬令瑠菜 | 作者ホームページ：http://ameblo.jp/runarunaterulove/
作成日時：2013年3月28日 18時
