その名前を ページ9
オ「…オズワールでいいよ、」
彼はそう言いながら、
パーカーのフードを人差し指で上に持ち上げてこちらを見つめている
さっきまでフードで見えなかった彼の目が、
まっすぐと私に向いていて
その星のような美しさに思わず息をのむ
『…え?』
絞り出せた言葉は、だいぶかすれていた
思いもよらない彼の言葉や行動が
私に与える影響は絶大だった
しばらくの沈黙が続く
彼がどういう意味でそれを言ったのかわからなくて
私は何も言い出せずにただ彼の言葉を待った
オ「いや、まあ遊ぶくらいの仲だし、家名じゃなくてもいいのになと思って」
(あぁ、なんだそういう、、)
内心どこかで、してはいけない期待をしていたからか、
期待とは違うものにがっかりする気持ちと
彼も仲がいいと思ってくれていたんだ、といううれしい気持ちで
なんとも表しきれない複雑な感情になる
(急に腕つかんで引き止めるくらいだから、変に期待しちゃった
まったく、、ほんとに罪な男だなあ、、、)
罪な男、そうは思っていても
彼を好きなままでいる私は、相当バカなんだろうな、と
自己嫌悪に陥りながらそれを振り払うかのように自分の翼を広げた
『じゃあ、また明日ね、オズ!!』
大きな声でそういうと、彼は目を見開いて私を見る
それを見て、あぁまた新しい彼の顔が見れたなあ、なんて
思わず笑みがこぼれて、その顔を隠すかのようにすぐ飛び立った
(あだ名呼びってなんだか急に距離が縮まったみたい)
ナルは帰る途中、顔のにやけが全く収まらなかった。
オ「っ!…そういうところだよ、、」
その後、真っ赤にさせた顔を両手で覆いしゃがみこんだ彼がいたなんて
ナルはまだ知らないのである
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作者名:らむねるねるね | 作成日時:2023年1月25日 22時