ラッキーを呼ぶアンラッキー ページ21
あの後、入間君としばらく話をして、
彼の大体の過去を聞いて、その成り立ちを理解した
そして小雷草が暴れた原因も、
彼の傷口からたれた人間の血のせいだということも理解した
なるほど、それなら自分にも身に覚えがあると
合点がいき口からため息が漏れた
にしても、サリバン様とんでもないことを、
なんて考えながら、いや私の姉も大概だけどと振り返る
そしてあらかた私のことを話して、
半分人間であること、でも悪魔でもあるから魔術が使えること、
数年前まで人間界で暮らしていたこと
それらすべてを彼に打ち明けた。
きっと彼からしたら今後の安心材料になるし、
その方がお互いに得策だと考えたからだ
(本当は、打ち明けるなら、オズに先に伝えたかった)
なんて心のどこかで考えている自分に嫌気がさす
今はそんな場合じゃないでしょ、と
余計な考えを吹っ切って入間君にしっかりと説明した
(にしてもあの子、危機管理がまるでなってない…!!)
書類管理の部屋に返ってひとり頭を抱える
どうやら彼に聞いた話だと
理事長以外にバラム先生にはこのことを話しているらしく
彼に親身になって接してくれているようだ
バラム先生は空想生物学を担当している優しい教師
だけど、彼も立派な悪魔なんだよ
人間ということを打ち明かしてしまうなんて、
あまりにも危機感がなさすぎやしないだろうか、、
(…これ片づけ終わったら、バラム先生に会いに行こう)
そう思いながら、書類を丁寧に指定の位置に戻していった
『痛っ!!!!くぅ〜、、、(泣)』
途中考え事をしすぎて何度か頭をぶつけたけど
それでも考えることを止められなかったのは、
彼のことが心配で心配で仕方なかったからだろう
きっと彼が人間だと分かった後も彼を支え続けたバラム先生も、
彼のことを思うと気が気でなかったに違いない
これ以上人間であることを、他にバラしちゃいけないよと
彼にくぎを刺すように伝えると、
「あ、それバラム先生にも言われました!」なんて
ふにゃぁっとした笑顔で言われて拍子抜けした
いやわろてる場合ちゃうねん、なんて
普段使わない関西弁が口から出そうになるくらいだった
書類の整理が終わり、部屋から出ようとドアノブを触る
(え?あれ?…開かない!?)
が、ドアは全く開く気配がない
多少強い力をこめてもなお、動くことはなかった
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作者名:らむねるねるね | 作成日時:2023年1月25日 22時