豚? ページ5
『うわぁ!?豚!?』
「ああ、すまん」
廃ビルとミニブタが結びつかなくて混乱していると、そのブタがいきなり人間になったのでますます訳が分からなくなってしまった。
しかも先程消えたもう一人の軍服だ。綺麗な黒髪のガタイが良い男。
もしかして此奴も『特級呪霊』とやらなのか。
「ほらグルさん、ちゃんと初めから説明せんと困ってまうやろ」
「ん?ああ、そうだったな」
忘れていた、とばかりに笑うグルッペンさん。
ようやく説明が始まりそうで、私は居住まいを正した。
「まず、俺達は“呪い”だ。呪霊ともいうな。呪いは、平たく言えば人間から流れ出た負の感情の事だ。屈辱とか、辛酸とか、後悔とか、いろいろあるだろう。そういう奴等が形を持って、人間に被害を与えているのを呪霊という」
『へぇ、あれって負の感情なんだ・・・じゃあ、その人が幸せになったら消えないんですか?』
「いや、もう流れ出てしまっているからな。自然消滅はしない」
そうだったのか。負の感情、か・・・
確かに、お葬式とかではよく見た気がする。
って、気にするのはそこじゃなくて。
『じ、じゃあ、グルッペンさん達も人間に敵対してるんですか!?』
そう、そこなのだ。
今まで見て見ぬフリをしてきた悪事に関わるなんて絶対嫌だ。
片棒を担がされるぐらいなら、怪我してでも逃げ出してやる。
足を引いて逃げ腰になった私を見て、グルッペンさんはクツクツと笑った。
「そんなに怖がるな。俺達はお前らに危害を与えようとはしていない」
『えっ?』
少し拍子抜けで、後ずさった足を元の位置に戻す。
「先程呪いの種類を少し言ったが、俺達は簡単に言えば“未練”だ。国への、そして国を守りきれなかった自分自身へのな。だから人間に敵対はしない」
その言葉で、鬱さんと黒髪さんがグルッペンさんから視線を外した。
どうやら辛い思い出があるらしい。
国を守る、とか言っている所を見ると兵士か何かだったのだろうか。
まあ私にはそれほど関係ないのだが、それでも少し可哀想に思う。
「俺達がこの日本にやってきたのはつい最近なんだが、この国はとても居心地が良くてな。あちこち回りたいところがある」
しかしグルッペンさんはさほど気にしていない様子で話し続けている。
この差は何なんだろう?
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ソーダ@炭酸檸檬(プロフ) - フラッペさん» コメントありがとうございます!嬉しい言葉をありがとうございます。只今執筆が遅れている状態ではありますが、続編の方も気長にお待ちいただければ幸いです。これからもこのシリーズをよろしくお願いします! (2022年2月7日 9時) (レス) id: e2773ed03f (このIDを非表示/違反報告)
フラッペ(プロフ) - 初めて見ましたが余りの面白さに一気見をしてしまいました!!この後の、登場人物の動きがすごく気になります。作者さんのスピードで更新していただけると幸いです!これからも応援しています!!! (2022年2月6日 23時) (レス) @page50 id: 95d319f9a9 (このIDを非表示/違反報告)
ネズミ?(プロフ) - ソーダ@炭酸檸檬さん» 分かりました。返信ありがとうございます。これからも頑張ってください! (2022年1月14日 18時) (レス) id: 7eb719262b (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ@炭酸檸檬(プロフ) - 碧さん» コメントありがとうございます!最後まで読んでいただきありがとうございました。下に書いた通り、話が出来上がり次第パスワードは外しますので、それまでお待ちいただけると幸いです。今後もこのシリーズをよろしくお願いします。 (2022年1月14日 8時) (レス) id: e2773ed03f (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ@炭酸檸檬(プロフ) - ネズミ?さん» コメントありがとうございます!この作品を閲覧いただきありがとうございます。続編はまだ執筆が進んでいないので、話が出来上がり次第パスワードを外します。それまでお待ち下さい、すみません。今後もこのシリーズをよろしくお願いします。 (2022年1月14日 8時) (レス) id: e2773ed03f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソーダ@炭酸檸檬 | 作成日時:2021年2月10日 12時