受肉 ページ30
『皆さん、まず先輩達の所へ行ってもいいですか？』
「ええよ。あの穴から入ろか」
鬱先生に連れられて学校に入り、柱に寄りかかるようにして気を失っている先輩に駆け寄った。
『先輩っ！？無事に見えるけど、井口先輩は怪我してる・・・』
呪霊にやられたか、頭部に嫌な空気が纏わりついている。
普通に傷も見えるし、早く病院に連れて行ったほうが良い。
「僕が行ってこよか？一般人には見えへんけど、病院の前に置いてくるぐらいは出来るで」
『それなら発見してくれるかも・・・病院の場所は分かりますか？』
「大丈夫や。すぐ戻ってくるな」
あっという間に二人を抱え、窓の外へ消えて行った鬱さん。
流石に先輩に手は出さないと信じたい。
「まああれは善意だろ。それより、あちらの状況も深刻だ」
グルッペンさんの言葉に、慌てて下を覗き見る。
虎杖くんと呪術師さんはもうボロボロなのに、呪霊にダメージは見当たらない。
圧倒的に不利な状況。
『虎杖くん！』
「待って。無闇に突っ込むとAちゃんが危ない」
壊れた壁から飛び出そうとするも、オスマンさんに腕を掴まれてその場にとどまる。
少し冷静になって下を見ると、虎杖くんがポケットから何かを取り出す所だった。
『あれ、呪物・・・！？』
「あいつ何してんねん！？あれ猛毒やぞっ！？」
出てきたのは、先程封印を解いた呪物。
ゾムさんの取り乱すような声と同時に、虎杖くんは、呪物を飲み込んだ。
「死ぬぞ、これ」
「いや、万が一があれば・・・」
後ろで何か言っているけど、あまり聞こえない。
虎杖くんから徐々に発せられてきた圧で、体が動かなかった。
彼はどうなってしまったのか？
ズゥゥゥゥン
不意に呪霊が崩れ落ち、あたりに不気味な高笑いが響いた。
「おお、万が一が出たな」
「嘘やん、受肉しとんのやけど」
「あれ、特級やんな？面白いことになってきたわ」
破かれた服の下から現れた虎杖くんの皮膚には、不思議な模様が刻まれている。
その立ち居振る舞いから、あれはもう虎杖くんではないということがよくわかった。
『ねえ、虎杖くんはどうなっちゃったの・・・？』
「あの指は特級呪物だった。大方、あれに宿っていた呪霊の魂が虎杖悠二に憑いたのだろう」
魂が、憑いた？
何にしろ、虎杖くんは人間じゃなくなったのだろうか。
こんなに離れていても、呪霊の気配を濃く感じる。
「お、おい、A、ちょっと見るんや！何か、よ、様子がおかしいで！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 768人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソーダ@炭酸檸檬(プロフ) - フラッペさん» コメントありがとうございます！嬉しい言葉をありがとうございます。只今執筆が遅れている状態ではありますが、続編の方も気長にお待ちいただければ幸いです。これからもこのシリーズをよろしくお願いします！ (2022年2月7日 9時) (
レス) id: e2773ed03f (このIDを非表示/違反報告)
フラッペ(プロフ) - 初めて見ましたが余りの面白さに一気見をしてしまいました！！この後の、登場人物の動きがすごく気になります。作者さんのスピードで更新していただけると幸いです！これからも応援しています！！！ (2022年2月6日 23時) (レス) @page50 id: 95d319f9a9 (このIDを非表示/違反報告)
ネズミ?(プロフ) - ソーダ@炭酸檸檬さん» 分かりました。返信ありがとうございます。これからも頑張ってください！ (2022年1月14日 18時) (レス) id: 7eb719262b (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ@炭酸檸檬(プロフ) - 碧さん» コメントありがとうございます！最後まで読んでいただきありがとうございました。下に書いた通り、話が出来上がり次第パスワードは外しますので、それまでお待ちいただけると幸いです。今後もこのシリーズをよろしくお願いします。 (2022年1月14日 8時) (レス) id: e2773ed03f (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ@炭酸檸檬(プロフ) - ネズミ?さん» コメントありがとうございます！この作品を閲覧いただきありがとうございます。続編はまだ執筆が進んでいないので、話が出来上がり次第パスワードを外します。それまでお待ち下さい、すみません。今後もこのシリーズをよろしくお願いします。 (2022年1月14日 8時) (レス) id: e2773ed03f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ソーダ@炭酸檸檬 | 作成日時：2021年2月10日 12時
