32 心配 ページ32
「雄英体育祭が迫ってる」
「くそ学校っぽいの来た〜！！」
包帯でぐるぐる巻きになっている相澤先生の言葉に盛り上がるみんな。
「待て待て……！」
「ヴィランに侵入されたばっかなのに体育祭なんかやって大丈夫なんですか？」
「また襲撃されたら…」
「逆に開催することで雄英の危機管理体制が磐石だと示すって考えらしい、警備も例年の5倍に強化するそうだ」
体育祭、ここで頑張ればプロヒーローに活躍を認めて貰えるんだ。
＊
時間はあっという間に過ぎていき、本番を迎えた。
「A〜！！行ってらっしゃい！」
「行ってきますお父さん…。」
「怪我しないでね！」
「出場するからには優勝してくるんじゃ！」
「朝からうるさいよお〜…。行ってきます！」
爺ちゃんからの激励をさらりと受け流し私は家を出た。
カラリと晴れた青い空が清々しく、気分が上がったような気がした。
「A、おはよう」
「おはよう焦凍。 体育祭頑張ろうね」
「ああ、 親父も見に来るらしい」
「そうなんだ…。でも無茶はしないでね」
「分かってる、お前もな」
『出場するからには優勝してくるんじゃ！』という爺ちゃんの言葉が脳裏を過るも、焦凍には到底勝てる気がしない…。
体育祭の会場に着くと既に屋台やらで賑わっていた。
私たち選手は控え室にて入場の時間に向けて待機していた。
「明保能チャン！もうすぐ入場だよーどこ行ってたの」
「上鳴君…心配ありがとう、ちょっとトイレに…。って焦凍目付きヤバいな焦凍もお腹痛いんかな」
私が焦凍に声をかけようとするも上鳴君に肩を捕まれ呼び止められる。
「轟さっき緑谷に宣戦布告してたんだよ…ただならぬ雰囲気を感じたね俺は」
「焦凍が緑谷君に？」
焦凍はNo.2ヒーロー、エンデヴァーの息子だ。
だからこそオールマイトと仲のいい緑谷君を目の敵にしているのだろうか…。
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作者名：薫 | 作成日時：2020年8月12日 1時
