16 本当？ ページ16
クラス全員の名前を覚えられたぐらいにはこの忙し過ぎる学校生活が慣れた頃。
「ふぁあ〜。」
「コレッ！シャキッとせい！」
「爺ちゃんがシャキッとし過ぎてるんだよ…。」
朝っぱらから爺ちゃんは上裸で庭にて寒風摩擦をしてきた後だった。
「ん、LINEだ。こんな朝から誰だろ。」
と、言っても連絡を頻繁に取り合う仲の人間など父さんか焦凍ぐらいしかいない。爺ちゃんに至ってはハイテクな物を嫌って断固として携帯なんて使おうとしない。
LINEを開くと焦凍から「風邪ひいた 休む」とだけきていた。
焦凍が風邪？珍しいなと思いつつも「分かった、お大事に。」とだけ返信し家を出た。
「出席取るぞー、今日は轟が休みか。」
「あっ、焦凍風邪ひいたみたいです。」
「ああ、確かお前ら家隣だったな。放課後プリントとかあいつの家届けてやってくれ。」
「わかりました。」
HRを終え次の授業の準備をしていると隣の上鳴君が話しかけてきた。
「えっ、明保能と轟って幼馴染なの？」
「うんそうだよ、家が隣なんだ。」
「へえ俺てっきりお前ら2人付き合ってんのかと思ってたわー。心配して損したぜ！」
「ハハ、有り得ないよ。焦凍と私が…付き合ってる、とか…。」
「ん、どした？」
上鳴君が私の顔をひょこっと覗き込んだ。
「いや、焦凍のことそういう異性？として見たこと無かったし私自身恋愛とかそういうのには無関係な感じだったから、恋ってどういうものなのかな…って。」
「じゃあ俺で試してみる？」
「えっ。」
上鳴君の嘘か本当か分からない言葉にでも一気に顔が熱くなるのが感じ取れた。
「Aやめときな？ これだけは言える、上鳴はやめときな？！」
「三奈ちゃん…！」
「オイオイ芦戸邪魔すんなよー！」
三奈ちゃんのおかげで上鳴君の嘘か本当か分からないお誘いから逃れる事が出来たのでほっとする。
それより焦凍…大丈夫かな。
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作者名：薫 | 作成日時：2020年8月12日 1時
