17 イナバウアー ページ17
「授業はここまで！復習を怠らないようにねー。」
ミッドナイト先生の立派なお尻を見送ると次は昼休み。
焦凍いないんだった、しょうがないやぼっち飯するか…。
「Aちゃん！良かったら一緒に食べへん？」
声の主はお茶子ちゃんだった。
「え！良いの？」
「もちろん！」
そう言うとお茶子ちゃんは麗らかに笑った。
「えっと…僕らもいるけど大丈夫かな…？」
お茶子ちゃんの後ろから緑谷君と飯田君が顔を覗かせていた。
「もちろん！」
4人で食堂に入ると既に人でごった返していた。
カレーライスを注文し、出てきたトレイに乗せられたカレーの程よく辛そうな香りに食欲が増す。
「今日はちゃんと朝食食べてきたのか？」
「飯田君、あの時はご迷惑をおかけしました…。」
「いや良いんだ、困った時はお互い様だからな！」
飯田君、本当に良い人だ…。
あの時、と言えば焦凍が氷の塊食うか？とか言ってきたんだ。焦凍って天然ってやつなのかな。そうだ風邪大丈夫かな、心配だな…。
「轟君が心配？」
「へっ！？嘘、なんで分かったの？もしかして緑谷君ってそういう個性…！」
「違う違う！ほら、明保能さんのスプーン…。」
「あっ。」
私が手に持っていたスプーンはまるでスケート選手のようにぐにゃりと仰け反っていた。
「いつもは力抑えてるから大丈夫なんだけど、たまに考え事とかしてると物とか変形させちゃうんだよね…。」
「念動力…って言うんだっけ。強い個性だな…。」
「ねえねえ、話変わるけどAちゃんって轟君と付き合ってるん？」
「いやいやそんなんじゃないよ…。朝上鳴君にも同じようなこと聞かれたな、逆に私たちってそういう風にみえるのかな？」
うーん、とお箸を片手に考え込むようなポーズを取るお茶子ちゃん。
「正直、良い年した男女がいつも一緒にいたら誰でもそういう風に見える…！と思う。」
いつもの麗らかさからは想像出来ないような深刻な表情にごくりと唾を…いやカレーを飲み飲む。
「そういうものなのかな…。でも焦凍は私とそういう風に見られて嫌じゃないのかな。」
「嫌だったら一緒にいないんじゃないかな、僕の場合かっちゃんが幼馴染だから余り参考にならないと思うけど…。」
と苦笑いする緑谷君。
皆の意見を聞いたところ私と焦凍は付き合ってると見られてもおかしくないらしい。
大丈夫だろうか、もう彼の顔をまともに見れる自信が無い。
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作者名：薫 | 作成日時：2020年8月12日 1時
