13 空腹 ページ13
「「個性把握テスト？」」
色々と急すぎる先生の言葉に皆が口を揃えて言う。
「入学式は？ ガイダンスは？」
茶髪のおかっぱの子が不安そうな顔で先生に尋ねた。
そうだよな、まだ校長先生の顔も見ていないぞ、それに先生になったオールマイトにも会ってみたいのに…。
しかし相澤先生は「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ」と。
取り敢えずこの体育テストでは個性を使っても良いという事か…。朝の全力疾走が悔やまれる。
「実技入試成績のトップは爆豪だったな、中学の時ソフトボール投げ何メートルだった？」
「67メートル。」
あのヤンキー、ヤンキーなのに成績トップなのか、凄い。
「じゃ、個性を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。」
「んじゃまあ、」
ヤンキーこと爆豪君は軽く準備運動をするとボールを勢い良く投げた。
「死ね〜！！」
やはり言葉使いはヤンキーそのものだが個性は爆破…かな、確かに強い。
爆豪君の投げたボールは爆風と共に見る見る見えなくなるまで飛んで行き、相澤先生の持つスマホには705.2メートルという数字が表示されていた。
「705メートルってマジかよ…。」
「何これ！面白そう！」
周りの皆の士気が上がる中、相澤先生だけが不穏な空気を醸し出していた。
そして、
「8種目トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し、除籍処分としよう。」
嘘だろ…。
先生の言葉に驚きを隠せずにいると、それに加え私のお腹からぐぎゅるるーと間抜けな音が聞こえた。
「やばい、お腹空いた…。」
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作者名：薫 | 作成日時：2020年8月12日 1時
