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昼休みを告げるチャイムが鳴る。
それと同時に僕は教室を出た。
授業中、こっそり寧々と東雲くんと青柳くんに
待ち合わせ場所を送った。
その待ち合わせ場所とは……
類「…やあ、待たせたね」
彰人「おっせーぞ、神代センパイ」
寧々「ほんと…遅過ぎて餓死しそうだった」
冬弥「大丈夫です、待ってませんよ」
類「…そうかい？」
３人中２人に「遅い」と言われると不安だねぇ…。
まぁ、青柳くんが否定してくれたし、大丈夫だろう。
３人の手にはお弁当か市販の物。
僕もさっき買ってきた。
類「さぁ、食べながら話そうか」
彰人「Aの事だろ、こん中で１番付き合いが
なげぇのはオレだろ？」
冬弥「そうだな、俺達は最近会ったばかりだし」
寧々「じゃあ…Aがどんな性格か…知らないと駄目だね」
類「そうだね、東雲くん、話せるかい？」
東雲くんは１度ため息を吐いて、パンを口に放り込んだ。
飲み込んだ後、口をゆっくりと開く。
彰人「オレの記憶があるとこまでだけどな。
あいつは、ショーが本っ当に好きだった」
“ ショー ” という単語が出てきて、寧々が少し反応する。
彰人「好きだったんだ。 今はそれに触れる事すら無理だと思う」
寧々「な、なんで？」
彰人「…あいつは、役者の真似をして、ベランダから飛び降りた」
その場に居た全員が息を呑んだ。
空気が更に冷たくなっていく気がして、鳥肌が立つ。
彰人「本当に、飛べると思ってたんだ。
その後、予想通りAは落ちて怪我をした。
オレは、そのちょうど下に居た」
類「…」
彰人「オレの隣で歩いてた女の人が叫んで、オレは…
オレは…何も、できなかった」
悔しそうに顔を歪めて、手を強く握った。
彰人「Aの頭から流れる血を見てるだけだった。
何をすれば良いか…分からなかったんだよ…！」
沈黙が僕達を支配した。
東雲くんの言葉を最後に、僕達は黙ってしまった。
そうか…Aくんはショーが好きで、好きだったから、
好きになり過ぎたから、そのショーがトラウマになった。
寧々は自分のお弁当を食べるふりをして、箸を見つめていた。
青柳くんは東雲くんの事を見ていた、きっと自分も
悔しいんだろうな。
僕は……どうやったら、またショーを好きになってくれるか、
どうしたらまた笑顔になってくれるか。
あの公園で約束した “ いつか ” の意味を、考えていた。
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作者名：ramune | 作成日時：2022年1月10日 19時
