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『A』
『……ミク?』
ベッドの上に置いてあるスマホから、
ミクが浮かび上がっていた。
咄嗟に切った手を隠す。
『な…何?』
ミク『隠さなくて良いよ、私は全部知ってる』
『っで、でも、私、天馬さんと神代さんと…!』
ミク『うん、見てたよ。 よく頑張った、偉いね』
にっこりとミクは笑った。
そんなミクに慌てたように近寄った。
『さっきの話も聞いてた? 私…どうすれば…!』
ミク『A、思い出せる?
司と類と話し合ったなら、頼れるでしょ?』
『え……あの2人に?』
ミク『親が寝たらここに来れる?』
『うん、行けるけど…』
ミク『なら良かった、楽しみにしててね』
それだけ言ってミクは引っ込んだ。
なんで夜中…?
まぁ良いや、私も行きたかったし。
__________
『……よし、寝たかな』
『 untitled 』を再生する。
ミク「あ、来た来た」
『ミク、用って何?』
ミク「ふふっ、出て来て良いよ、 “ リン ” 」
ミクの背後から、金髪の少女が出て来た。
もしかしてこの子って… “ 鏡音リン ” ?
リン「えっと…は、初めまして!」
『初めまして、貴女は鏡音リンかな?』
リン「う、うん! 君はAちゃんだよね?」
『…うん』
ミクとはちょっと違う性格だ。
話すのが苦手なのかな…。
ミク「リン、そんな緊張しなくても大丈夫。
Aは優しい子だから、ね?」
リン「う、うん…!」
『リン…歌、歌える?』
リン「歌…?」
きらきらとリンの目が輝き出した。
うん、これなら少し緊張感を和らげられるかな。
リン「歌える…し、歌いたいっ!」
『何が良い?』
リン「それはAちゃんが決めて!
私は何でも歌えるからっ」
『……じゃあ、 “ スイートマジック ” とかどう?』
リン「! 私の曲だ…!」
ミク「私は時々ハモれば良いかな?」
『うん、ありがとう』
〜♪
歌えば気持ちが楽になる。
隣で歌うリンは、本当に気持ち良く歌ってるし、
私達を見ているミクも楽しそうだ。
あ…そういえば、ミクが言ってたな。
今度来る時、仲間が増えてるかもって。
これ、リンの事だったんだ。
[ “ いつか ” 君が飛べる日が来ると良いね。
僕は、その瞬間を待ってるよ ]
ふと神代さんの言葉を思い出した。
神代さんの言葉の意味は何だったんだろう。
ぎゅっと手を握られ、リンを見る。
リンは、幼い頃の私みたいに光っていた。
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作者名:ramune | 作成日時:2022年1月10日 19時