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類「……さて、」


蛇口を捻り、水を止めた神代さんは私を見た。


類「帰ろうか、日も暮れてきたし送って行くよ」


『え、ありがとうございます…』


類「フフ、暗い中女性1人で歩かせるのは危ないしね」


柔らかく笑う神代さんに、少しドキッとしてしまった。

きっとこういう所なんだろうなぁ。

__________


『…あ、ここです、私の家』


類「おや、綺麗な外見だねぇ」


『ありがとうございます、ではまた』


類「そうだね、また明日」


ガチャン、と音がしてドアが閉まる。

前に居るのはお母さん、昨日と同じ事を言われる。

…今日は、久しぶりにリビングで食べようかな。


『…いただきます』


でも、ご飯は美味しいし、何も言えないんだけどさ。

無言で食べ続けていれば、テレビを見ていたお母さんが

私の方を振り返った。


母親「A、今日誰かと帰って来たよね?」


『? うん…それが何?』


母親「男の子だったはず…名前は?」


『…隣のクラスの神代類さん、』


母親「へぇ……」


珍しく認めてくれた、と思った瞬間。


母親「すぐ縁を切りなさい」


『……え?』


母親「あんたと居ても、その神代くんは損しかしない。

それだったら、貴重な3年間を別に回した方が良いでしょ?」


にこにこ、笑顔でそう言うお母さん。

背中で汗が流れた気がした。

そうなの?

私は…皆と縁を切った方が良いの?

近付かない方が、皆のためにも、なるのかな……。


私は…………


母親「ね、そうしなさい。

明日からその子と一緒に居たら怒るからね。

お父さんにも言うし」


『わ、分かった…ごめんなさい…』


この空間に居たくなかった。

カチャカチャとお皿を洗うと、さっさと自室に戻った。


『……っ…う………』


机の上で独りで泣いた。

泣きたいんじゃなくて、この部屋に来ると自然と溢れて、

そのまま零れ落ちてしまう。

涙を止めようと、歯を食いしばって、眉間に皺を寄せる。


『昔は、頭とか…ッ、撫でて、くれたじゃん…っ』


あんな事言う人じゃなかった。

なんで?

なんでなんでなんでなんでなんで?

私が生まれてきたからそうなったの?

それなら、それなら……。


私は、死んだ方が良いの?


『…あ……』


いつの間に流れ落ちる血液。

無意識でやっちゃったな、また。


『……はは、惨めだなぁ』


その言葉を聞いて、また泣きたくなった。

__________


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設定タグ:プロセカ , 天馬司 , 神代類   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ramune | 作成日時:2022年1月10日 19時

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