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心臓が波打つ。
どこかで見た事のある表情。
類「司くんとは、仲直りしたのかな?」
『はい、ご飯に誘われたけど、神代さんに謝ってないので
断って来ました』
類「おや、それは申し訳ない事をしてしまったねえ」
『いえ…また今度誘ってくれますし』
類「……君の事だけど、もちろん僕は許すよ」
『もちろん…とは』
類「話すのも恥ずかしいけど、君と同じ状況に至った事が
僕にもあってね、同じ仲間としてさ」
『神代さんが…?』
私が聞き返せば、何も言わずにブランコを漕ぎ始める。
それに合わせるようにして、私も漕ぎ始めた。
類「その話は、君がもう少し僕に詳しくなったら教えるよ」
『…まず、私の諸事情、知ってたんですね』
類「何か抱えてそうだなぁとは思っていたからね」
『何か、似た者同士ですね、私達』
類「似た者同士…か」
まずい、余計な事言っちゃったかな。
一気に勢いを付けて、神代さんはブランコから飛び降りた。
その様子が、私はまるで蝶が羽ばたく時のように見えた。
『すみません、何か失礼な事でしたか?』
類「…フフ、いいや、むしろ嬉しかったよ。 ありがとうね」
そう言って、また私に向けて微笑んだ。
類「Aくんも、そこから飛べるかい?」
『え、ここから…ですか』
残念ながら私は高い所が苦手…高所恐怖症である。
何故ブランコを漕いだのかもよく分からない。
『…いえ、無理です』
類「……そうか」
そっと降りれば、神代さんは公園の水飲み場の
蛇口を上に向け、蛇口を捻った。
ぶわぁっと水が勢いよく噴射する。
私にも、神代さんにも掛かって、あっという間に濡れた。
『え……な、何ですか…?』
類「悪いねぇ、これは思い出と思ってくれると良いな」
『思い出…?』
類「 “ いつか ” 君が飛べる日が来ると良いね。
僕は、その瞬間を待ってるよ」
夕日に当たり、黄色く染まる水の色。
真昼に見る流れ星が私達に向かって、輝いて降ってくる。
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この前12000hitだったのに…!
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本当にありがとうございます!
学校行く支えになります、明日英語の単語テストあるので笑
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作者名:ramune | 作成日時:2022年1月10日 19時