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寧々「……あ、」
彰人「やっと来たかよ、遅いっつーの」
冬弥「そうだな、でも…」
冬弥「仲直り、したみたいだ」
そのまま手を引かれて、寧々さん達と合流した。
寧々さんは、天馬さんに何やら怒って言ってたけど、
その後は薄く微笑んでいた。
…だから、大丈夫だと思う。
司「今日は本当に悪かったな…帰り、何か食べて帰るか!」
彰人「えー、でもオレお金無いですー」
冬弥「彰人はまた…」
司「もちろん、オレの奢りだ!!」
彰人「わー、ありがとうございます司センパーイ!」
わざとらしく喜んで、青柳さんに叱られる東雲くん。
懐かしいな、こんな光景も。
寧々「Aは? 何か用事無かったら行こうよ」
『…うん、でも、今回は遠慮しておく』
私の言葉に、その場に居た全員が振り返る。
だって私は、まだ『約束』を果たしてないから。
呑気に休んでちゃ駄目なんだ。
司「遠慮しなくて良いんだぞ?」
彰人「勿体ない事するぞ、奢ってくれるのに」
『うん、でも私、神代さんとも話さなきゃ』
寧々「……そっか、類の家は分かる?」
『うん、朝通って来たから大丈夫』
寧々さんだけ分かってるのかな。
本音で話した相手だもんね、当たり前か。
寧々「類は、絶対許してくれるから。
幼馴染の私が言うんだから、絶対大丈夫だよ」
『ありがとう寧々さん、行ってくる』
そう言って、私はまた走り出した。
司「あ、おい……っ」
寧々「司、Aにはやる事があるの。
今回はこのメンバーで食べれば良いよ」
冬弥「…確かに、いつでも誘えますしね」
彰人「珍しー、でも良いんじゃねぇの」
司「………そうだな! よし、では行くか!」
__________
確か…神代さんの家は、ここの角を曲がって…。
そしたら公園があるはず……。
『ぁ』
どこかの漫画のワンシーンみたいだ。
神代さんは、1人でブランコに座っていた。
何かの台本らしき物を見ている。
邪魔しないようにそっと近付き、隣のブランコに座った。
凄い集中力、私に気付いてない。
夕日が神代さんの顔に当たって、少し顔を歪めた。
類「……あ、Aくん…?」
『すみません、声掛けませんでした』
類「いや、僕も気付かなくてすまないね。 何の用だい?」
『…すみません、でした。 色々迷惑掛けちゃって…』
類「……フフ、」
その笑い声に顔を上げた。
神代さんは、私にそっと笑い掛けていた。
その表情は、儚かった。
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作者名:ramune | 作成日時:2022年1月10日 19時