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『……東雲、彰人くん』
彰人「何で、オレの名前…」
『お、覚えてる? 私の事……』
彰人「…誰だっけ」
… “ 馬鹿みたい ” 。
『…ぁ、ごめんなさい。 人違いだったみたいです』
彰人「は? いや、ちょっ…でも、オレの名前…!」
__________
…逃げちゃった。
仕方ないか、何年も会ってないからね。
『…思い出してくれるまで、待ってみようかな…』
〜彰人side〜
…誰だ、あいつ。
何でオレの名前知ってんだよ…怖っ。
気持ちが晴れないまま、オレは家に帰った。
彰人「…ただいまー」
絵名「! おかえり…」
彰人「絵名?」
絵名「誤解しないで、私は道具取りに来ただけ。
待ってた、とか、そういうのじゃないから!」
彰人「おう…まぁな……」
絵名「…どうしたの?」
彰人「帰り、変な奴に会った…」
絵名「え、誰?」
彰人「…あ、名前聞くの忘れた」
絵名「えぇ…」
彰人「オレの名前知ってる奴。
“ 覚えてる? ” とか言ってきたけど、何か知ってるか?」
絵名はしばらく考えたようだが、分からなかったらしい。
思い出せない、と言った。
絵名「まぁ、私も探してみるけど、その子の事」
彰人「頼んだ」
ストーカーとかだったらやべぇな…。
たぶん、そんな事ねぇと思うけど。
そうでなきゃ、オレを見て泣きそうになってたのは何だ?
〜夢主side〜
『……ただいま、』
母親「遅い」
『ご、ごめんなさい』
母親「はぁ……ほんと、出来ない子だね。
とにかくご飯食べて、お風呂入って寝なさい」
『うん…ごめん』
そう言って、お母さんは自分の寝室に戻っていった。
…何も言わないんだ、私が数日間居なかった事。
何も、言ってくれないんだ。
知ってるじゃん、そんな事。
どうして、視界が揺らぐの。
小さく音がして、目から溢れた雫が床に落ちた。
__________
ご飯も食べ、お風呂も入った後、ベッドに倒れ込んだ。
家に帰って来るといつも思う。
落ち着かない、自分が生まれ育ってきた場所なのに。
スマホを取って、なんとなく画面を見る。
『低電力』だから30秒後に消える画面。
その3秒前、私も目を閉じた。
3、2、1。
同じタイミング、私は意識を堕とした。
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作者名:ramune | 作成日時:2022年1月10日 19時