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翌日。少し肌寒さを感じつつも、まだ霞む視界を擦り、ベットから身を起こす。それと同時に起こる腰痛は、昨夜の情事を思い出させるようで、何とも言えない気持ちになる。


……今何時……?


ふとサイドテーブルに置いてある時計を確認すれば、全身の血の気が引いていくような感覚がした。



「………く、9時………!?!?」



慌ててスマホで時間を確認するが、表示されているのはやはり9時。普段なら鳴っているはずのアラームも何故か切られており、少しばかりの苛立ちが募る。

ってそんなことしてる場合じゃない……!!



「……んぁ……?」



私が慌てて飛び起きると流石に起きたのか、まだ眠たそうに目を擦りながらセンラくんが目を覚ました。

子供みたいで可愛い………

じゃない。違う。今はそれどころじゃない。一刻も早く会社に行かなければいけない。幸い、大事な会議がある日でもなければ、どこか出張しに行く日でもない。だが、新人の教育も任されているし、資料制作だってまだ終わっていない。なにより、お局がめんどくさい。

そんな頭の中でぐるぐると考え事をしながら、朝の支度を進めようとバタバタと部屋の中を駆け回る。



「ん、どしたん…?」

「仕事!!もう完全に遅刻だけど!!すぐ出る!!センラくんはゆっくりしてって構わないから!合鍵持ってるでしょ?帰りたくなったら鍵しめ」

「A」



焦りも募り、早い口調のまま寝ぼけたセンラくんに喋りかけていると、センラくんは話を遮るように私の名前を呼んだ。

なに?と思い、少し手を止め、センラくんを見る。いつの間にかベットから降りていたセンラくんは、ゆっくりと私に歩み寄り、優しく抱きしめた。余りにも空気の読めない意味不明の行動に、また少しばかりの苛立ちがつのる。



「え、ちょっと、やめて時間ないんd」

「A
今日は会社は行かんでええよ。ゆっくり俺と過ごそ」

「何いってんのか分かんないって。それより早くどい」

「だーかーらー!今日はAは会社とか仕事とかそーゆーのは考えんでええの!!」

「ちょっと何言ってんのか分かんないって……!!」



いくら抵抗しても離してくれないセンラくん。それどころか、抱き締めるその腕の力は更に強くなってしまった。

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作者名:カエデ | 作成日時:2023年9月17日 9時

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