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☆番外編 ページ19

2人の会話を陰から聞いていて、急速に体から力が抜けていくのを感じる。―――ここまでなのか。ここまで彼女は、恵まれていたのか。



「絶ッ対ェ黒幕がいるだろ。吐かせた方がいいんじゃねぇの?」
三ツ谷のその言葉に、思わず体がびくりと跳ねた。―――マズい。



「んー、拷問しようかとも思ったけど、」

「何気にサラッと恐ろしいこと言うんだな、お前」

「冗談だよ。別にこれ以上何もなければ、その必要はないかなーって」



そのとき不意に、Aがこちらに流し目を送る。パチリ、と目が合った―――気がした。否、きっと目が合った。



(……ばれてる)

そうひよりに確信させるだけの、言葉と態度だった。きっと彼女は、遠回しに自分を脅しているのだ。――――“これ以上何かすれば、全部バラす”と。頭のいい彼女だから、きっと全部自分の仕業であることも分かっていて、その証拠も掴んでいるに違いない。



……そしてもしそれが広められることがあれば、ひよりの学生生活は、詰んだも同じ。




「ハハ……勝てるわけ、ないじゃん」

浮世離れした美貌と強靭な精神力を持ち、恐ろしく頭の回転が速く、人望もあって、物理的にも強いだなんて。



ずっと、自分が1番なのだと思っていた。そう信じて、疑わなかった。
あまりにも愚かだったと、今ならはっきり分かる。



―――その日、桜井ひよりは人生で初めて、完膚なきまでの敗北を味わせられることとなった。




……実際のところ、目が合ったと思ったのは、Aが三ツ谷の視線に耐えきれず顔を逸らしただけであり、本人はひよりがいたことなんて全く気付いておらず、ましてや黒幕が彼女だなんて全く知らなかったのだが、そのことをひよりが知る機会は永遠に来ない。







「おはよう」

「お、おはよう、A…ちゃん」


ある日を境に、なんか急にひよりちゃんが私のことを怯えるようになった。挨拶しただけでビクッとされる。


…私、何かしましたっけ?身に覚えがないので、ちょっと悲しい。…まあいいか。最近なくしものもピタリと無くなったし。




帰り道につるかめ堂で買った苺大福は、物凄く美味しかった。私の人生、今日も平和である。

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ミツキmitsuki(プロフ) - さいっこうに面白かったです!みんなの特徴を捉えてて、本当にすごい… (12月30日 14時) (レス) @page44 id: 75866be232 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - 三ツ谷君かっこよすぎです。。。。。この作品に出会えてめちゃくちゃ幸せです。。。!ありがとうございます!! (12月28日 1時) (レス) @page44 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 隆が男前すぎてキュンキュンが止まりません!完結おめでとうございます! (7月8日 9時) (レス) @page44 id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - ドラケンがいない気がするけど気のせいでございましょうか?あと最っっっっっっ高です! (2022年9月9日 18時) (レス) @page44 id: f72f202f06 (このIDを非表示/違反報告)
shoko0619(プロフ) - この小説大好きすぎます。大好きです。消さないでください。 (2021年12月31日 9時) (レス) id: 9301928d42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年9月25日 14時

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