☆番外編 ページ16
―――椎名Aは、窓枠に頬杖をついて凭れ掛り、その亜麻色の髪を風にたなびかせながら黄昏ていた。
華奢な体躯とすらりと伸びた手足。短めのスカートから見える太ももはどこか艶めかしく、しっとりと柔らかなフォルムを描いている。
身長165センチと少しある彼女は、びっくりするほど顔が小さくて、スタイルが良い。嫉妬と羨望を抱くには十分すぎるほどで。奥歯をギリッと噛み締めて、ひよりは彼女に近付く。
「ひどいよAちゃん、何でこんなことばっかりするの…」
「…へ?」
ボーっとしていたAがこちらを振り向く。透き通るカラメル色の瞳が、驚きと困惑で揺らいでいる。
名前を呼ばれたと思って振り向けば、そこにはひよりちゃんがいた。
彼女、まだ隆のことを諦めていないらしい。私としては応援してあげたいんだけども、私が関わるといつも変な方向に向かうので、関わらないことが一番と判断したんだよ。故にあまり話していなかったんだけど…
「えーっと、嫌がらせ?」
「これ、Aちゃんでしょ?」
そう言って見せられたのは、教科書――――っぽいけど何か書かれている。
“隆に近付くな、ブス!!”
…うわ、ひどいことする奴いるな。ひよりちゃんかなり可愛い部類に入るんでは?…ん?ちょっと待ってこれ私の仕業だと仰るのかい!?
「隆くんと仲良くしてるからって、こんなこと…っ!」
「いや、あのですね、多分ですけど深ーい誤解が」
ウルウルと涙目になるひよりちゃんに弁解しようとするも、
「ひどい、桜井さんに嫉妬したからって、こんなことするの?」
「自分がちょっと美人だからって、それはないんじゃない?」
んー、弁明の機会が与えられませんな。
「最近いっぱい物が無くなるのも、Aちゃんがやってるの?」
いやそれミートゥーです。犯人私じゃないです。自分のもの自分で隠さないです。
…え、なにこれ劇?私の知らないところでお芝居始まっちゃってる系?
教室がざわざわとし始めたところで、
「どした?何かあったか?」
皆の兄貴、隆登場。悲しそうな目をしていたひよりちゃんが、パッと顔を輝かせて彼の元へ走り寄る。
「隆くんあのね、」
お芝居なのか虚偽なのか分からない報告?をするひよりちゃん。なんかもうどうでもいいし面倒になってきたので、このままゴーホームしてもよろしい?
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ミツキmitsuki(プロフ) - さいっこうに面白かったです!みんなの特徴を捉えてて、本当にすごい… (12月30日 14時) (レス) @page44 id: 75866be232 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - 三ツ谷君かっこよすぎです。。。。。この作品に出会えてめちゃくちゃ幸せです。。。!ありがとうございます!! (12月28日 1時) (レス) @page44 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 隆が男前すぎてキュンキュンが止まりません!完結おめでとうございます! (7月8日 9時) (レス) @page44 id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - ドラケンがいない気がするけど気のせいでございましょうか?あと最っっっっっっ高です! (2022年9月9日 18時) (レス) @page44 id: f72f202f06 (このIDを非表示/違反報告)
shoko0619(プロフ) - この小説大好きすぎます。大好きです。消さないでください。 (2021年12月31日 9時) (レス) id: 9301928d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年9月25日 14時