それぞれの道

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「え゛？」

「――え？」

私とひよりちゃんの声がハモる。勿論、濁音がついてるのが私。


「いや、あの、でーとって…あのデート？」

「デートはデートだろ？2人で一緒のモン見て、一緒のモン食べて、一緒にいるヤツ」

「いや、うん、認識はあってるっぽいけどさ」

顔を近付け、不思議そうに首をかしげる隆。そんな顔もイケメンだけどさ、自然と手をつなぐのはやめない？


「…え、二人って、付き合ってるの…？」

ひよりちゃんの困惑したような、震えを無理やり押し殺したような声。
あ、ヤバい。付き合ってないってこの前言ったのに。デートだなんて、誤解も誤解、凄まじい誤解。




「うーん、その一歩前ってとこ？あと一押しで陥落しそうだからさ、粘ってんの」

「違うから。陥落しないから。全部隆の思い込み、妄想」


とんでもないことを言う隆の言葉を急いで否定する。ひよりちゃんの邪魔しないって決めたんだよ私は！！

私の全否定に対してもひよりちゃんのひきつった顔は戻りそうにないし、隆に至っては薄く微笑んでいる始末。


「ひっでぇ、好きになりそうって言ってたのに」

「それは一時の気の迷いだってば！！いちいちそれを掘り返すな！」




「――へぇ、気の迷い？」


微笑んでいた隆が一気に真顔になり、不機嫌そうな雰囲気まで漂わせ始める。
…いや落差激しいなぁオイ。


「俺はお前のあの一言で天にも舞い上がる気持ちになって、ようやくあと一歩のとこまで来たかって喜んでたのに、Aは俺のあの時の気持ちを、気の迷いの一言で済ますのか？」

「え、いや、うーん…」

「Aの言動一つに一喜一憂して、四六時中Aのことばっかり考えてる俺の気持ちはどうなんの？」

「ゴメンナサイ。気の迷いとか言ってすみませんでした」


そんな真剣な顔で責められたら、謝るしかないじゃんか。でもほんとに、あの時はどうかしてたというか。通常モードじゃなかったというか。








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