それぞれ19 ページ19
「昨日は随分と楽しんできたみたいだな」
「ぬおうっ」
学校に着き、カバンから教科書を取り出して机に入れている最中、急に話しかけられてビビった。いや、昨日の夜は一人でホラー見てたからさ(私すごい)、そういうの今はものすごく敏感になっているというか。
ちょっと話しかけられただけで、“はっ!もしや幽霊!?”みたいな感じになるのよ。
でも、そんな私に大して訝しげな様子は見せず、ただひたすらに『不機嫌』を表情で示していらっしゃる隆。
頬杖を突き、半眼で見つめられましても。
「おう。クレープ美味しかった。もう一個食べたかった」
「知ってるよ。口の周りにラズベリーの汁がついて、吸血鬼みたいになったんだろ?」
「え゛何故にご存知で?」
「マイキーに散々自慢されたわ」
想像できる。『Aがさ〜、口の周りに、ラズベリーの汁いっぱいつけてんの。それがもう吸血鬼みてぇでさ、』ってドヤ顔で電話してる万次郎が想像できる。それはもう鮮明に。
「今度は俺とも行こうな?」
「え、うん。別にいいよ」
すぐに頷けば、若干拍子抜けした様子だったけど。かと思えば、急にソワソワし始める。頬を掻き、若干視線を逸らしながら、言おうか言うまいか、ためらっているような、そんな雰囲気。
「あのさ、」
「うん」
「…マイキーとは、いつも、その………あんな感じなのか?」
「あんな感じとは?」
「抱きついたり、腕くんだり、そういうの」
「ああ、あの人はちょっと距離感が異常に近いだけだから。もう剝がすのもめんどくさいから、動物みたいなものだと思って放っといてる」
「―――ふーん、」
面白くなさそうに相槌を打った後、急に何かいいことを思いついたように唇を吊り上げて。
「ちょっと、今何か抱きつかれる要素あった?」
「…俺も、動物みたいなものだと思ってくれたら、」
「万次郎のまねっこするのはお勧めしないな。何においても」
「うるせー、オレがそうしてぇの」
アンタがしたいんかい。
「ん?…もしかして、シャンプー変えた?」
「あ、わかる?ちょっとボタニカル系のやつに変えました」
「オレ好きかも」
褒めてくれるのはいいんだけどさ、横から抱きついて、髪の毛を掬って匂いを嗅ぐというのは、ちょっと誤解されそうだからやめてほしい。
2794人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ま - え、これって駿台模試の英文ですか!? (2022年5月22日 13時) (レス) @page15 id: 8b077b9bca (このIDを非表示/違反報告)
わたし - まって、私坂本なんだけどw (2022年5月11日 17時) (レス) @page6 id: 4ecae0ff80 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - シュウさん» そうなんですよ…時間があればいろんな人のエンドつくりたいとか思うんですけど、話数的に厳しかったり…(´・ω・`)楽しみにしてくださってありがとうございます! (2021年9月28日 7時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
シュウ(プロフ) - 夢花さん» この作品いつも楽しみにしています。三ツ谷も千冬もマイキーも選べない!各々のエンド作って欲しいです(土下座(願望なだけなのでご無理はなさらなず) (2021年9月28日 4時) (レス) id: ad2f2b2a8f (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - 千冬…………まぁ、可愛いければなんでもいいよね!!!うん!!! (2021年9月24日 18時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年9月3日 9時