検索窓
今日:42 hit、昨日:91 hit、合計:1,253,238 hit

たらたら22 ページ23

Aはきょとん、としていた。左手がおとがいならば、三ツ谷は自分の右手を彼女の後頭部に回し、どこへも逃がさないように抱きすくめながら、たっぷりと口付ける。



…暫くしてゆっくりと唇を離した時、流石にAは状況を悟ったようだった。
大きな目がこれでもかと見開かれ、白い肌が一気にして林檎色に染まっていく。



「た、たか――…」

「A、」

三ツ谷はまだ、言葉を取り戻せないままでいた。自分でもこうすることが当たり前のように思われて、有無を言わさず目の前の唇に吸い付く。貪るように舐める。



自分が一方的に奪ってしまう形となった彼女の唇は、信じられないほどに柔らかくて、クラクラするほど甘い、苺の味がした。



その感触を名残惜しく思いながらも、ゆっくりと顔を遠ざける。そこには、茹でだこのように顔を赤くし、カチンコチンに固まってしまったAがいた。



「なな、何ばしよって、ごじゃりま…す、あ」

「ごめん、」


甘ったるい唇を腕で拭い、視線を逸らして小さく謝る。
衝動的な行動だったから。謝ることしか、今の自分にはできない。頬が熱いのは自分も同じ。







――――隆にキスされた。大事なことなのでもう一度言おう、隆にキスされた。
しかも結構濃厚でディープなやつ。ファーストがディープってもうどういうこと?



脳が沸騰しすぎて、正常な思考回路にならない。
本当に、あっという間のことだった。あっと言う間に隆の端正な顔が近付いて来たんだよ、避けられるわけなかった。



Be cool、ビークールと自分に命令し、ちょっと心を落ち着かせて隆の顔を見れば、彼も彼で耳まで赤くなってたわ。あと滅茶苦茶申し訳なさそうにしてる。消え入りそうな声で謝る隆なんて、隆らしくない。


自分からしておいて、自分が照れるってどーいう事よ。なんか私の方が冷静になってしまったじゃないか。…そして気まずい。どうしようもなく気まずい。



「えー…っと、あのさ、」

口を開きかけたその時、携帯の着信音が鳴る。私じゃないので必然的に隆のだけど。
躊躇いながら電話に出た隆の顔が、どんどん険しくなっていく。



「悪りぃ、俺ちょっと行くわ」

「えっ…」


険しい顔で走っていかれてしまわれた。まさかのやり逃げかよ〜…

たらたら23→←たらたら21



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (800 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2482人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

キャラメルシュガー(プロフ) - まって..wwこのお話面白すぎて夜中なのに爆笑してしまったwww作者さん神‼️ (2022年8月18日 0時) (レス) @page18 id: 9b02bb5cbf (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - 全部千冬が引き継ぎます!! (2021年9月3日 10時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - あとなんか知らんけどバジリスクが4ぬとこめちゃ冷静でした丸 思い言え無くて残念だったねバジリスク…君の無念はきっと千冬が果たしてくれるよ多分! (2021年9月3日 9時) (レス) id: 4035e5a938 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - なのはさん» なんか壮大なストーリーが始まる予感…っ!! (2021年9月3日 9時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 雨降り星さん» そう…これが…黒い衝動の始まりだった…(((おやめなさい (2021年9月3日 9時) (レス) id: 4035e5a938 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年8月21日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。