たらたら22 ページ23
Aはきょとん、としていた。左手がおとがいならば、三ツ谷は自分の右手を彼女の後頭部に回し、どこへも逃がさないように抱きすくめながら、たっぷりと口付ける。
…暫くしてゆっくりと唇を離した時、流石にAは状況を悟ったようだった。
大きな目がこれでもかと見開かれ、白い肌が一気にして林檎色に染まっていく。
「た、たか――…」
「A、」
三ツ谷はまだ、言葉を取り戻せないままでいた。自分でもこうすることが当たり前のように思われて、有無を言わさず目の前の唇に吸い付く。貪るように舐める。
自分が一方的に奪ってしまう形となった彼女の唇は、信じられないほどに柔らかくて、クラクラするほど甘い、苺の味がした。
その感触を名残惜しく思いながらも、ゆっくりと顔を遠ざける。そこには、茹でだこのように顔を赤くし、カチンコチンに固まってしまったAがいた。
「なな、何ばしよって、ごじゃりま…す、あ」
「ごめん、」
甘ったるい唇を腕で拭い、視線を逸らして小さく謝る。
衝動的な行動だったから。謝ることしか、今の自分にはできない。頬が熱いのは自分も同じ。
――――隆にキスされた。大事なことなのでもう一度言おう、隆にキスされた。
しかも結構濃厚でディープなやつ。ファーストがディープってもうどういうこと?
脳が沸騰しすぎて、正常な思考回路にならない。
本当に、あっという間のことだった。あっと言う間に隆の端正な顔が近付いて来たんだよ、避けられるわけなかった。
Be cool、ビークールと自分に命令し、ちょっと心を落ち着かせて隆の顔を見れば、彼も彼で耳まで赤くなってたわ。あと滅茶苦茶申し訳なさそうにしてる。消え入りそうな声で謝る隆なんて、隆らしくない。
自分からしておいて、自分が照れるってどーいう事よ。なんか私の方が冷静になってしまったじゃないか。…そして気まずい。どうしようもなく気まずい。
「えー…っと、あのさ、」
口を開きかけたその時、携帯の着信音が鳴る。私じゃないので必然的に隆のだけど。
躊躇いながら電話に出た隆の顔が、どんどん険しくなっていく。
「悪りぃ、俺ちょっと行くわ」
「えっ…」
険しい顔で走っていかれてしまわれた。まさかのやり逃げかよ〜…
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キャラメルシュガー(プロフ) - まって..wwこのお話面白すぎて夜中なのに爆笑してしまったwww作者さん神‼️ (2022年8月18日 0時) (レス) @page18 id: 9b02bb5cbf (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - 全部千冬が引き継ぎます!! (2021年9月3日 10時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - あとなんか知らんけどバジリスクが4ぬとこめちゃ冷静でした丸 思い言え無くて残念だったねバジリスク…君の無念はきっと千冬が果たしてくれるよ多分! (2021年9月3日 9時) (レス) id: 4035e5a938 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - なのはさん» なんか壮大なストーリーが始まる予感…っ!! (2021年9月3日 9時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 雨降り星さん» そう…これが…黒い衝動の始まりだった…(((おやめなさい (2021年9月3日 9時) (レス) id: 4035e5a938 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年8月21日 0時