たらたら28 ページ29
他の者にとっては何よりも恐ろしい、しかし今の私にとっては天からの助けとしか思えない、その声は、肩を怒らせてこちらを見る万次郎から発せられるもので。
「…何されてんの、A」
「万次郎ぉぉ…、ちょっと本気で助けて」
安堵で涙腺が崩壊しそう。これほどまでに、この人の顔を見て安心したことがあっただろうか、いやない。
情けない声をあげれば、万次郎の顔がちょっとだけ緩んだ。
「え、マジ?この子マイキーの
…ちょっと違うけどこの際そういうことにしておこう。ここで否定したらもっとややこしくなりそう。
「分かったらさっさとAを返せ。んで、死ね」
「フーン、Aっていうんだ、オマエ」
私の名前に感慨深そうにしてんじゃねーよ、竜胆とかいうやつ。万次郎の言葉辛辣だけど、偶然だな、今私も全く同じ気分なんだ。
「オイオイマイキー、こんなAちゃんみたいな可愛いカノジョがいるならさぁ、奪られないよう見張っとくべきだろ。…なぁ、竜胆?」
「だな、兄貴。それじゃ俺らに奪われても文句は言えねぇよな」
「は?」
…おう、万次郎のやつ、マジのお怒りモードに入ったっぽい。ビキビキいいはじめてるよ、こめかみが。
このまま私ごと万次郎の蹴りが炸裂されても困るし。っていうかそうなったらまず間違いなく私死ぬし。…仕方ない、奥の手を使うか。コレ、たぶん私にもダメージ来るから、やなんだけどな。タケちゃんに教えてもらった方法。
「……ん?」
「――――」
「!…っ、痛ってぇ!!」
噛んだ。顔付近にあった竜胆とかいうやつの手を、思いっ切り引っ張ってガブリといきました。…うぇっ、口の中に血の味が広がる。どうしようもなくなったら取り敢えず嚙みついたらいいんスよ!、ってタケちゃんが言ってたけどさ、これやっぱ最終手段だわ。
まあでも、怯んだ隙に逃げれたから、結果オーライなのか?
「アイツ、俺の手を嚙みやがった」
「わお、勇ましいね」
顔をしかめる竜胆とは対照的に、兄の方はニヤニヤと楽しそうに笑ってる。一応弟のことは気遣ってるみたいだけどさ、キモいわ、この兄。
「よくやったな、A。…もういこーぜ」
「うん。口ゆすぐ」
謎に頭撫でられた。機嫌が良さそう、非常に。
「今度会ったら覚えとけよ、A!」
「顔と名前覚えたからねー、Aちゃん♡」
…二人して私の名前を呼ぶな。
2483人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キャラメルシュガー(プロフ) - まって..wwこのお話面白すぎて夜中なのに爆笑してしまったwww作者さん神‼️ (2022年8月18日 0時) (レス) @page18 id: 9b02bb5cbf (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - 全部千冬が引き継ぎます!! (2021年9月3日 10時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - あとなんか知らんけどバジリスクが4ぬとこめちゃ冷静でした丸 思い言え無くて残念だったねバジリスク…君の無念はきっと千冬が果たしてくれるよ多分! (2021年9月3日 9時) (レス) id: 4035e5a938 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - なのはさん» なんか壮大なストーリーが始まる予感…っ!! (2021年9月3日 9時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 雨降り星さん» そう…これが…黒い衝動の始まりだった…(((おやめなさい (2021年9月3日 9時) (レス) id: 4035e5a938 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年8月21日 0時