未練たらたらな彼

たらたら11 ページ12

しばらくして辿り着いたのは、施設…孤児院的なところ。
こんなところに一体何の用があるんだろ、と疑問に思っていると。


シュタタタタタタタタッ！！とものすごい勢いでこっちに向かってくる人影。
なんだなんだ、敵襲か！？とりあえず臨戦態勢にはいらねば。



「真一郎！！」

「よぉ、イザナ」

めっちゃ目をキラキラさせて、身構えていた私には目もくれず、お兄さんのところに一直線。…今更だけどこのお兄さん、しんいちろうって言うんだな。自分の名前は名乗ったけど、この人の名前は聞いてなかった。興味なかったので。



「…ねぇ、誰？ソイツ」

「ああ、この子はAっつってな、どうも家出したらしいから連れて来た」

「フーン。…で、真一郎、今日はどこ行くの！？」

「おう、取り敢えずメシ食いに行かね？」

「行く！！めっちゃ腹減ってたんだよ、オレ」


わたしだけ蚊帳の外感半端ない。そしてこのイザナとかいうわたしより2,3歳年上っぽい男の子、なんかすごいやな感じ。ソイツとはしつれいな。そのひと、っていうべきでしょ。



「おし、今日は奮発して肉食うか！！…イザナ、A、焼き肉かステーキ、どっちがいい？」

「わたしステーキがいい。お昼に焼肉はちょっと合わないかなーって」

「は？コイツも連れてくの？それにオレ、焼き肉がいいんだけど」


とことんやなやつだな。昼から焼肉とか有り得ん。



「よし、ここはレディーファーストでステーキにすっか！イザナ、ごめんな。焼肉はまた今度、連れてってやっから」

「やった。…いたっ！？」

「チッ」

「コラ、女の子に乱暴するんじゃねーよ、イザナ。…ごめんな、Aちゃん」


ポニーテールを思いっ切り後ろに引っ張られて、頸が痛い。自分の要求が通らないからって乱暴するとか、チンピラじゃないか。このばかやろう。



バイクは驚異の三人乗り。子供2人だから大人1人と変わんねーよ、って言ってたけど、道路交通法違反だと思う。




イザナ野郎は、バイクに乗ってる時もひたすらわたしのポニーテールをいじくってた。まったく、せっかく高いところで綺麗に結べたのに、ぐちゃぐちゃになったら承知しないからな。ブッチンてなるぞ。

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