Episode36 ページ37
「それは…」
ドラケンの問いに、思わず言葉が詰まる。Aのことが好きになったから、なんて言えるわけないけれど。
「それ、は…」
どうやって答えようと、必死で頭を回転させて、考えて、考えて――――
「こんなところにいた、朱里ちゃん」
聞きなれた涼し気な声音が降ってきたのは、そんな時だった。
□＿＿＿side A
全く、探すのにすごい時間がかかった。見つけたと思えば、不良連中がぞろぞろといて。
朱里ちゃんが驚いたようにこっちを見つめてる。その横にいた皆も。
「…Aちゃん、なんでここに」
「―――これ、一緒に行かない？」
ずずい、と目の前に差し出したパンフレット。
“可愛い子猫たちと戯れよう！期間限定猫カフェ！”
「え…」
「2人分あるから。君を誘おうと思って」
せっかく2枚あるのに、１枚使わないとか勿体なさ過ぎ。
「A、お前何でこんな奴と、」
誰だっけ――――そうだ、佐野君が、肩を怒らせてこちらに詰め寄る。
◇＿＿＿side 朱里
「こんな奴って何？」
「お前は朱里にはめられてたんだぞ！？なのに、」
「はめ…？別に何もされてないけど。――――そういうわけであかりちゃん、一緒に行くよね？うんそっかオッケーじゃあさっそく今週の日曜日ってことで」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って」
強引に話を進めて行こうとするAに、待ったをかける。
「何で、私？」
「？…だって朱里ちゃんぐらいしか友達いないし。青宗は猫そんな好きじゃないって」
何をいまさらと言った様子でしゃべり続けるAに、今度はマイキーが割って入る。
「友達いないって…オレ、結構猫好きだけど」
「？…佐野君と私って、友達じゃなかったと思うけど」
「かっ…」
純粋な疑問に満ちたAの返答に、吐血して倒れそうになるマイキー。
――――本当に、ただ名前を憶えてもらっただけで、そこから進行していなかったのか。
「私のこと、怒ってないの？」
「何で？何も怒るようなこと、してないと思うけど」
Aの言葉には噓も偽りも一切含まれていなかった。どこまでも純粋な黒い瞳が、言葉よりも明確に物語っている。
「そっか。…良かった」
「？」
不思議そうに首を傾げるAをみて、自然と笑みが零れた。
――――良かった、Aに、嫌われていなくて。心の底からそう思える。
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グラニー京子 - 面白かった！ (2022年4月4日 14時) (
レス) @page38 id: 90faee3a30 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - ふゆきさん» 朱里ちゃんそこまで気に入っていただけるなんて…！番外編、楽しそうなんですけどね… (2021年12月30日 23時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - わかめさん» 返信遅くなってすいません！…ええっ、ほんとですかめっちゃ嬉しいです是非是非見てみたいです！！ (2021年12月30日 23時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - ももさん» ぐへへ、ほんとですか？←きも 愉快になっていただけたら嬉しいです！ (2021年12月30日 23時) (レス) @page37 id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき - 主人公ちゃんと朱里ちゃんの絡みが凄い好きです！番外編とかでみんなの日常編みたいなの作って欲しい… (2021年12月30日 9時) (レス) @page38 id: 0daf234829 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨降り星
| 作成日時：2021年9月13日 23時
