Episode30 ページ31
◆＿＿＿side 万次郎
「いや、オレの方こそ悪かったから、マジでごめん」
彼女と触れている部分から、じんわりと体が熱くなってくる。
「……うん」
小さくAが頷き、万次郎は慌てて手を離した。
「―――佐野君」
「…へ？」
「名前、頑張って覚えるから。もうあんなこと、しないでくれたら嬉しい」
小さく微笑んだかと思うと、身を翻して今度こそどこかへ行ってしまう。その後ろ姿を見えなくなるまで見送った後、壁に身を預けてずりずりと座り込む。
「あーーーーヤベェ、すっげー好きだ」
なんでよりによって今、その感情を自覚してしまうのか。仲間の前でも、“二度と関わるな”、なんて言ってしまったというのに。今更、どの口が。
彼女の形の良い唇がさのくん、と動いたとき、その言葉が耳を優しくくすぐったとき、例えようもないほどの甘い痺れが、全身を襲ったのだ。
彼女の些細な一言で、有頂天になる自分が憎たらしい。たった一言で自分を惑わせるAが、恨めしい。
頬の熱は暫く引かず、後からやってきたドラケンに大丈夫かと問われるほどで。
何でもない、と首を振ることしか出来なかった。
ある日の帰り道。ぼんやりと家への道を歩いていると、「佐倉！」と誰かが私を呼び止める。
そのままその人が近づいてくる気配がして、最終的には横に並んだ。
「これはこれは…銀髪君」
「…薄々勘付いてたけど、やっぱ俺も名前憶えられてないのな」
「眉毛真ん中だけなし男くんでもいいけど」
「絶対今決めただろそれ。――っていうかお前、メンタル強過ぎね？」
Why？メンタルは別に強くも弱くもないと思う。
「あんだけあいつらにいろいろ言われて、普通もうちょいへこむだろ」
「あいつら？色々？」
「あーこれそもそも何も分かってないやつか。…うん、まあそんな感じだろうとは思った」
自分の中で勝手に完結したみたいなので、これ以上は別にツッコまない。面倒なので。
「―――そう言えば最近、マイキーがすげぇ機嫌が良いんだけどさ、佐倉、何かした？」
「マイ、キー……マイ……佐野君のこと？」
「！…成程な」
銀髪君は賢いな。私が少し単語を発しただけで、全部分かったかのように頷いて。頭、いいんだろな。
「そろそろオレの名前も覚えろよ、佐倉」
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グラニー京子 - 面白かった！ (2022年4月4日 14時) (
レス) @page38 id: 90faee3a30 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - ふゆきさん» 朱里ちゃんそこまで気に入っていただけるなんて…！番外編、楽しそうなんですけどね… (2021年12月30日 23時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - わかめさん» 返信遅くなってすいません！…ええっ、ほんとですかめっちゃ嬉しいです是非是非見てみたいです！！ (2021年12月30日 23時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - ももさん» ぐへへ、ほんとですか？←きも 愉快になっていただけたら嬉しいです！ (2021年12月30日 23時) (レス) @page37 id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき - 主人公ちゃんと朱里ちゃんの絡みが凄い好きです！番外編とかでみんなの日常編みたいなの作って欲しい… (2021年12月30日 9時) (レス) @page38 id: 0daf234829 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨降り星
| 作成日時：2021年9月13日 23時
