Episode3 ページ4
〜万次郎side〜
―――佐倉Aは、学校の中でも、ちょっとした、いや、かなりの有名人だった。
腰まで伸びた真っすぐで艶やかな黒髪に、黒曜石を思わせる漆黒の大きな瞳。対照的に雪のように真白な肌と、赤い唇。
成績優秀、容姿端麗として名高い彼女は、その寡黙な性格と、孤高の白百合を思わせる凛とした佇まいから、教師ですら迂闊に話しかけられない、そんな近寄りがたい存在感を放っていて。
学校生活の大半を寝て過ごす万次郎ではあったが、隣の席から彼女の端整な横顔を盗み見るのが、ちょっとした楽しみだった。
ある日のこと。月に一度の、大好物であるきな粉揚げパンの日、ふざけてドラケンと揚げパンを投げ合って遊んでいれば、振りかぶった拍子に二つとも開いていた窓から落っこちて、そのまま花壇にうずもれてしまい。
余りの揚げパンなどあるはずもなく、嵐がやってきたかのように不機嫌になる万次郎と、それにおびえるクラスメイト達。
そうなるとドラケンですら手が付けられなくなり、ほとほと困り果てていたその時だった。
「はい、これ」
「―――へ?」
突如として横から伸びてきた、細くて白い腕。その手にはきな粉揚げパンが握られていた。
ぎゃーすか喚いていた万次郎も、思わずポカンとする。
「私、いらないから。だからあげる、それ」
「…え、あ、ああ」
言いたいことだけ言い終えて、また前に向き直ったかと思うと、二度とこちらを向くことはなかった。
貰った揚げパンを頬張りながら、万次郎は考える。
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グラニー京子 - 面白かった! (2022年4月4日 14時) (レス) @page38 id: 90faee3a30 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - ふゆきさん» 朱里ちゃんそこまで気に入っていただけるなんて…!番外編、楽しそうなんですけどね… (2021年12月30日 23時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - わかめさん» 返信遅くなってすいません!…ええっ、ほんとですかめっちゃ嬉しいです是非是非見てみたいです!! (2021年12月30日 23時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - ももさん» ぐへへ、ほんとですか?←きも 愉快になっていただけたら嬉しいです! (2021年12月30日 23時) (レス) @page37 id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき - 主人公ちゃんと朱里ちゃんの絡みが凄い好きです!番外編とかでみんなの日常編みたいなの作って欲しい… (2021年12月30日 9時) (レス) @page38 id: 0daf234829 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年9月13日 23時