検索窓
今日:12 hit、昨日:9 hit、合計:285,323 hit

*祈り ページ43

それからはひたすら、神に、仏に、天に祈り続けることだけが、今の私にできることだった。


(神様、仏様、どうか義勇を死なせないでください。義勇以外のものなら何を失っても構わないから、だからどうか、義勇だけは私から奪わないで…)


これがいよいよ最終決戦、鬼と人との最後の戦いだ。


自分の命を秤にかけたとしても、なお高い位置にあるのが義勇の命である。


鎹ガラスが定期的に決戦の様子を伝えてはくれるが、一人一人の隊士の様子までは分からない。


ただ、心の底から、大切な人の安全を祈る。




祈り続けている間に、いつの間にか東の空がうっすらと明るくなり始め、朝が来る。

いったいどれほど待ったのだろうか、時間の感覚が曖昧になり始めた時…

―――――道の向こうに、見慣れた影が映る。

ずっと待ち焦がれていた相手、それは…

「義勇っっ!!!」

彼が口を開くよりも先に迷わず胸の中に飛び込み、なりふり構わずその場で泣いた。


…おずおずと義勇は左手で、私の背中をなでてくれる。彼は右手を、なくしてしまっていた。それでも、彼は生きて帰って来てくれた。五体満足とはいかなかったけれど、それでも。


泣き笑いして、泣き笑いして、私はようやく顔を上げる。

「おかえりなさい、義勇」

「…ただいま、A」








その後はいろいろと行かなければならないところがあり、私は彼の補助としてその後をついていく。

彼の師範でもある、鱗滝さんにここで初めて会った。髪を切った義勇を見て、少し驚いたようではあったけれど、彼の無事を心から喜んでくれた。



「義勇さん!!」

3人で話をしていれば、こちらに手を振りながらかけてくるのは炭治郎君と、その妹である禰豆子ちゃんだ。


「髪、切ったんですね!!」


「エッヘン、私が切ったのよ。どう?」

「上手です、流石ですね、Aさん!!」

ひとしきり会話に花を咲かせた後、彼らとはいったん別れた。


この戦いでも、これまでにも、多くの人たちが亡くなった。

私達は、その者たちの分も、思いを受け継いで生き続けなければならない。

そうやって、命は続いていくものなのだから。

*その後の生活→←*事態は動き出す



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (284 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
716人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆき(プロフ) - #観音坂ゆるさん» 泣いてくださったなんて…!!こっちがうれしくて泣きそうです!!そうです、居酒屋のあの女性は無惨様なんです、あれっきり登場することなかったんですけど…。夢主のことお気に入りだったみたいですね (2021年1月3日 0時) (レス) id: 02cc0a4dd4 (このIDを非表示/違反報告)
#観音坂ゆる - ところで、居酒屋のあの女性は無惨様だったんでしょうか…? (2021年1月3日 0時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
#観音坂ゆる - 最後めっちゃ泣きました( ;∀;)きゅんきゅんしたり、感動したりできる素晴らしい作品ですね!!完結おめでとうございます!! (2021年1月3日 0時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - まるこさん» あっ、もうめっちゃ頑張ります!コメント嬉しいです、ありがとうございます! (2020年11月3日 8時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
まるこ - めっちゃきゅんきゅんします〜〜!続きを心待ちにしております! (2020年11月2日 21時) (レス) id: 8f523f6a9b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆきのふ | 作成日時:2020年9月12日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。