好かれていた相手に優しくしたら、ますます依存された

＊事態は動き出す ページ42

それから、またもや忙しい日々は始まる。

何でも、この前義勇の家に来てくれた炭治郎君達が、十二鬼月の上弦の陸に続いて、肆と伍も倒した？とか何とかで、今までよりももっと苛烈な戦いが始まるのだとか。


何故か急に鬼が現れなくなり、その間に柱稽古を行うことになったらしいのだが、どうも暗い顔だった義勇が、ここ数日で明るくなった。…そのせいか、天然具合により磨きがかかったというか…。


…きっと炭治郎君のおかげなのだろう。ここ数日、ずっと彼に付きまとわれている、だなんて珍しく愚痴をこぼしていた義勇ではあったが、そのおかげか、彼は最近笑顔を見せることが多くなった。


遅れながらも義勇も柱稽古に参加して、隊員たちを鍛え始めたのだが…。

「義勇、あなたあの不死川さんって人と、驚くほど仲悪いのね…」

「そんなことはない。あいつは照れているだけだ」

「どこをどう見ればその判断につながるのかな！？」


柱同士も手合わせをするというわけで、私は、陰から炭治郎君とコッソリ不死川さんとの打ち合いを見ていたわけだが、殺意がもうすごい。


止めに入った炭治郎君まで吹き飛ばされ、その後彼が目覚めるまで義勇と見守っていたのだが、彼が起きてからの2人の天然トークがこれまた凄かった。


おはぎで盛り上がっていたのだが(あの義勇が！！)、ツッコミが追い付かなさ過ぎて、私は早々に突っ込むことを諦めた。もう知らん。



しかし、そんな穏やかな日々がいつまでも続くはずはなく。


「緊急招集！緊急招集！産屋敷邸襲撃！！産屋敷邸襲撃！！」

鎹ガラスの伝令とともに、鬼殺隊士たちは決死の思いで産屋敷邸へと向かって行ってしまう。



もちろん、鬼殺隊でも、戦闘員でもない私は、ひたすら家で彼の無事を祈ることしかできない。


いっそ自分も、彼らと同じように刀一つでだれかを守れるような存在だったなら。

何もできない非力な自分が、悔しくて悔しくて仕方がなかった。

＊祈り→←＊運命の夜※

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す