＊変な人に絡まれた ページ40
「俺は少し買いたいものがあるから、一旦離れないか」
「ん、いいよ。じゃあ今から大体半刻後くらいに、あのお店の前に集合ってことで」
「分かった」
やはり、一人の自由な時間というものも大切だと思うし、私達はいったん別れることとなった。…そこまではいいのだが。
「良ければ一緒にあのお店で僕と昼食をとりませんか、美しいお嬢さん。少しだけ、ええ、ほんの少しだけでいいんです」
先程から、見知らぬ男の人に絡まれているのである。通り過ぎた時、財布を落としていたから拾ってあげただけでこの有様である。
めんどくさくて仕方がない。
「今、昼食を取り終えたばかりですので結構です。人と待ち合わせているので、失礼します」
造り笑顔を張り付けてそう言うも、男は引き下がろうとしない。しつこい男は嫌われるぞ、と言ってやりたかったが、そうもいかない。
軽くあしらっていたのだが、なかなかあきらめようとせず、手首まで掴まれたときには流石に堪忍袋の緒が切れた。
「いい加減にしてください！！私には恋人がいるんです！！気持ち悪いので引っ付かないでください！！」
「恋人なんて嘘でしょう？照れなくていいんですよ」
したり顔でそんなことを言うので、イライラがますます募るが――
「あっ、義勇！！」
…遠くに彼の姿を見つけて、笑顔を弾けさせてそちらへ向かうAの姿に、男は否が応でも気付かされた。
その義勇とかいう男には、逆立ちしたって勝てっこないのだと。自分に対しての表情と、その男に対する笑顔には、天と地ほどの差が存在する。
深層意識では理解していたのにもかかわらず、男はそれを頑なに受け入れようとしない。
Aの後を追い、その男のもとへ自分も行く。
「俺のAに何か用か」
底冷えするような声でそう問いかけられ、体が動かなくなる。しかし、震える声で男は、
「僕は、そちらの方にお話しがあって…」
しかし、最後まで言い切ることができなかった。
義勇と呼ばれた彼は、男の前で見せつけるように、Aへと接吻して見せたのだ。
「ちょっ、義勇！？さっきのことと言い、ほんとあなたって…」
ほんのりと赤らむ顔に、男はすべてを悟る。
今度こそ、コテンパンに精神をやられた男は、すごすごとその場を去っていったのだった。
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ゆき(プロフ) - #観音坂ゆるさん» 泣いてくださったなんて…！！こっちがうれしくて泣きそうです！！そうです、居酒屋のあの女性は無惨様なんです、あれっきり登場することなかったんですけど…。夢主のことお気に入りだったみたいですね (2021年1月3日 0時) (
レス) id: 02cc0a4dd4 (このIDを非表示/違反報告)
#観音坂ゆる - ところで、居酒屋のあの女性は無惨様だったんでしょうか…？ (2021年1月3日 0時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
#観音坂ゆる - 最後めっちゃ泣きました( ；∀；)きゅんきゅんしたり、感動したりできる素晴らしい作品ですね！！完結おめでとうございます！！ (2021年1月3日 0時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - まるこさん» あっ、もうめっちゃ頑張ります！コメント嬉しいです、ありがとうございます！ (2020年11月3日 8時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
まるこ - めっちゃきゅんきゅんします〜〜！続きを心待ちにしております！ (2020年11月2日 21時) (レス) id: 8f523f6a9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきのふ | 作成日時：2020年9月12日 23時
