*久しぶりのデート ページ39
次の日はどうも非番だったらしく、義勇の方から「少し出かけないか?」と誘ってくれた。
2人で出かけるのは本当に久しぶりのことで、若干ウキウキしながら私はお出掛け用の着物に着替える。
「せっかく街に行くんだから、お団子早食い勝負でもしない?」
「・・・」
かなりおなかがすいていた私はそう提案したのだが、義勇は「なんで?」という顔をしている。
「だめ?」
「駄目ではない」
上目遣いでちょっと甘えるようにそう言ってみれば、即座にそう答える彼に、わたしはこっそりほくそ笑む。意外にちょろい、ちょろ岡義勇さんであった。
「いよっしゃああ、私の勝ち!!」
みたらし団子早食い勝負をし、大差をつけて私が勝利した。
横を見れば、げっそりとした顔の義勇がいて、なんだかちょっと申し訳ない気分になるが、勝ちは勝ちである。
特に商品をかけていたわけではないが、やっぱり成人男性に何かで勝つのは嬉しいものだ。特にここ最近、彼にいいようにされてばっかりだったので、少し意趣返しにもなったんじゃないかと思う。
そんなことを考えて再び横を見れば、義勇の整った顔立ちがすぐ横にあって、一気に頭が混乱する。
“えっ、何か今接吻されるようなことしたっけ!?”頭をフル回転させている間に、彼の唇が私の唇――ではなく、そのわずか横にあてられたかと思いきや、強く舌を押し付けられて舐められる。
これはなまじっか、接吻されるよりも――
「タレが口の端についていた」
何事もなかったかのように、自分の唇をペロリと舐めた彼の顔を脳が認識する前に、自分自身の顔が、ブワっと熱くなるのを感じる。
「義勇の天然スケベ!!ド変態!!」
私の怒鳴り声に、“心外!!”とでも言わんばかりの顔をしている義勇だが、心外なのはこっちである。全く人前で何してくれてんのか。
案の定辺りにいた客たちが、ある者は驚いたように、ある者は揶揄うように、はたまたある者は羨ましそうな目でこちらを見つめている。…ちょっと待って、羨ましそうにってどゆこと?
今のどこに羨ましがる要素があったのか。
「店出るよ、義勇。…おじさん、お団子美味しかったです、どうもありがとう」
「あいよ!!お2人さん、仲良くな!!」
帰り際そんなことを言われて、ようやく引き気味だった顔の熱が再び戻ってくるのを感じる。
…でも、仲良くなと言われたので、手は繋いだ。一応。
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ゆき(プロフ) - #観音坂ゆるさん» 泣いてくださったなんて…!!こっちがうれしくて泣きそうです!!そうです、居酒屋のあの女性は無惨様なんです、あれっきり登場することなかったんですけど…。夢主のことお気に入りだったみたいですね (2021年1月3日 0時) (レス) id: 02cc0a4dd4 (このIDを非表示/違反報告)
#観音坂ゆる - ところで、居酒屋のあの女性は無惨様だったんでしょうか…? (2021年1月3日 0時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
#観音坂ゆる - 最後めっちゃ泣きました( ;∀;)きゅんきゅんしたり、感動したりできる素晴らしい作品ですね!!完結おめでとうございます!! (2021年1月3日 0時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - まるこさん» あっ、もうめっちゃ頑張ります!コメント嬉しいです、ありがとうございます! (2020年11月3日 8時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
まるこ - めっちゃきゅんきゅんします〜〜!続きを心待ちにしております! (2020年11月2日 21時) (レス) id: 8f523f6a9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきのふ | 作成日時:2020年9月12日 23時