*柱の人たちと飲み会 ページ26
無言でぎゅうぎゅう義勇が抱きしめてくるものだから、かなりびっくりしてしまった。
「えっ、ちょっと義勇、急に抱きついたりしてどうしちゃったの?危ないでしょう」
咎めるように軽く睨んでも、義勇は抱きしめる力を全く緩めようとはしない。
こういう時の義勇は、何を言っても聞かないことが多いので、もう好きにさせてやることにした。
「…たい」
「何?」
肩口でぼそぼそ呟かれても、よく聞きとれない。
「このままAを俺の家に持ち帰って、襲ってしまいたい」
何を言い出すかと思えば、とんでもない義勇だ。
「なっ、ちょっ、何言ってるの、義勇!!あといい加減に離れなさい!!」
羞恥心で爆発しそうになった私が本気で怒ると、しょんぼりした顔で義勇は渋々といったように私から離れた。
「冨岡に恋人がいるって、マジだったのかよ…」
そんなつぶやき声がした方に顔を向ければ、背の高い、筋肉質で派手そうな男の人が、驚いたような顔をして、こちらを見ていた。
いや、そんなこと言ってやるなよ…、義勇はこれでも顔はかっこいいんだから。顔だけは。
そんなこと考えてる私もかなり、義勇に対して失礼なのだが。
「うむ!!さっきは疑ってすまなかった、冨岡!」
そう、鼓膜が破れそうなくらい大きな声で謝ったのは、これまた派手な髪色の男性。
…だが、その言動から考えると、誠実な人柄のようだ。
「チッ」
盛大な舌打ちをしたのは、たった今人を殺してきたみたいな顔をした、怖そうな男性。
うん、関わらないでおこう。私もまだ、三途の川とこんにちはしたいわけではないのだ。
「フンッ、恋人と言ってもどうせ大した女ではないじゃないか、顔はまだいいとしても甘露寺の可憐さには到底及ばない…」
ネチネチと言うのは、変な蛇を首に巻いた変な男の人だった。
そして何気に、私が顔だけ女的なことを言ったなこのおちびさん?甘露寺さんが誰だかは知らないが、あんたにそんなこと言われる筋合いはな―――――
「A、怒っているのか?目が怖い。…怒った顔も、綺麗だとは、思うが」
なんかこの人、自分で言って自分で照れていらっしゃる。
でも、少しだけあの人に対する怒りは収まったかもしれない。
「ん、ありがとう、義勇。大丈夫、もう怒ってないよ」
にっこり微笑むと、義勇も頷き返す。
どうやら、この個性的な柱という人たちと、飲み会を行うらしい。
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ゆき(プロフ) - #観音坂ゆるさん» 泣いてくださったなんて…!!こっちがうれしくて泣きそうです!!そうです、居酒屋のあの女性は無惨様なんです、あれっきり登場することなかったんですけど…。夢主のことお気に入りだったみたいですね (2021年1月3日 0時) (レス) id: 02cc0a4dd4 (このIDを非表示/違反報告)
#観音坂ゆる - ところで、居酒屋のあの女性は無惨様だったんでしょうか…? (2021年1月3日 0時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
#観音坂ゆる - 最後めっちゃ泣きました( ;∀;)きゅんきゅんしたり、感動したりできる素晴らしい作品ですね!!完結おめでとうございます!! (2021年1月3日 0時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - まるこさん» あっ、もうめっちゃ頑張ります!コメント嬉しいです、ありがとうございます! (2020年11月3日 8時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
まるこ - めっちゃきゅんきゅんします〜〜!続きを心待ちにしております! (2020年11月2日 21時) (レス) id: 8f523f6a9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきのふ | 作成日時:2020年9月12日 23時