１２． ページ12
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「じゃ、ちょっと行って来るね」
すぐ戻るからと言い残して車を降りた智くんの華奢な猫背を、車中から見送る。
人通りのない、いかにも寂れた通り。
少し先の古びたビルの地下へ下りる階段に消えた彼。
「こんな所に図書室があるなんて」
「看板も見当たりませんよね」
助手席の本田さんと運転席の瀬野さんが不思議がるのも無理はない。
繁華街とは違い、この時間になると、多くのビルは一日の仕事を終えて静まり返っている。
智くんは看板が目に留まったと言っていたが、目の前の通りには、薄暗い街灯とビルの常夜灯以外の明かりは見当たらなかった。
正直言って、こんな寂しい場所に躊躇なく通っていた智くんの気が知れない。
「一人で大丈夫かな」
結局頭痛薬があまり効かなかったらしく、頭を動かす度に顔を顰めていた彼の横顔を思い浮かべながらそう呟くと、本田さんが言った。
「最近は暮れのようなハードスケジュールじゃないんだけれど、
よく眠れてないみたいなんだよ」
「眠れないからここに来るのか、
ここに来るから眠れないのか…
どっちなんでしょうね」
「どうだろうね。
今まで大ちゃんが眠たがって困ったことは何度もあったけれど、
眠れなくて困ることは一度もなかった。
悩み事でもあるのかと思ったが、どうもそれはないみたいだ。
とにかく今日は、軽めの睡眠導入剤も処方して貰おうかと思ってる」
間もなく、智くんがビルから出て来た。
街灯の薄暗い明かりの下、遠目にもふらついているのがわかる。
俺は急いで車を降りて駆け寄った。
「智くん！」
支えるように肩を抱いた俺を見上げて、彼はにっこりと微笑んだ。
「本、返して来たから…」
「えっ、うん。
ありがとうね」
「残念だって…」
「えっ…？」
「仕事が忙しくなるから、もう来られないって言った。
そしたらオーナーがさ…
残念だって言ってた」
「そっか…」
「で、俺が来られないなら自分が行くって言ってさ…」
「えっ…！？」
「俺のとこ来て、読み聞かせしてくれるって言うんだよ」
彼は事も無げに言ったが、俺はぞっとした。
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kotorix(プロフ) - satoshiikoさん» satoshikoさん、はじめまして！コメント有り難うございます♪薄気味悪い物語で恐縮です。智くんが受難続きですが、翔くんやメンバーが頑張ってくれますので、是非とも最終話までお付き合いくださいませ。今後ともどうぞ宜しくお願いいたします♪ (2014年8月20日 12時) (
レス) id: e9eb502708 (このIDを非表示/違反報告)
satoshiiko(プロフ) - はじめまして！ 山が好きでこちらへ辿り着きました。なんか怖いんですけど・・ドキドキして目が冴えてきたけど途中でやめますか。もう寝ないと明日の仕事に。でもたのしみです。ありがとう！ (2014年8月20日 1時) (レス) id: 48c930074b (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - つっきー♪さん» つっきーさん♪お読み頂き、また、コメントを有り難うございます。本作は続編を含めると結構長い作品です。不気味な物語で恐縮ですが、宜しかったらお付き合いください♪矛盾点はどうかお見逃しを！σ(^_^;) (2014年2月4日 19時) (レス) id: e9eb502708 (このIDを非表示/違反報告)
つっきー♪ - オーナーが怖いですね 私だったら耐えられません kotorixさんのお話とても面白いです (2014年2月4日 18時) (レス) id: f90ae1b507 (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - ありあけ。さん» ありあけ。さん♪お読み頂いて有り難うございます♪不気味なだけの物語にならないよう頑張りますので、引き続き宜しくお願い致します♪コメント嬉しかったですm(_ _)m (2013年1月8日 7時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kotorix
| 作成日時：2012年12月15日 16時
