６．面接試験 ページ6
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「二宮くん？
どうかした？」
院長に声を掛けられて我に返る。
ああ、びっくりした…
俺は知らないうちにあんぐり開いていた口をようやく閉じて、院長に向き直った。
しかし背後の二人が気になって仕方がない。
ついパーカーの彼を見ると、彼は自分にしがみついて来た息子を愛おしそうに抱き上げ、「いたずら息子め」と言いながら、可愛い鼻を繊細な人さし指でちょんと突ついた。
何だよ、絵に描いたようなシアワセ親子じゃん。
見てる方がニヤけるわ。
「えっと、二宮くん」
「えっ…？
あっ、はいっ？」
院長に再び名前を呼ばれて、そう言えば今は大切な面接の真っ最中だということを思い出す。
「す、すいません」
今日の寝床が懸かってる死活問題だってのに、シアワセ親子に見蕩れてる場合か、自分…
ニヤけ顔を一転し、自己嫌悪で下唇を噛む俺を見て、院長はくすっと笑った。
「小さい子がいてびっくりした？」
俺が「えっ？」と顔を上げると、パーカーの彼が申し訳なさそうに言った。
「ごめんね、面接の邪魔して」
見ると彼に抱かれた領という子も、しゅんとした顔になっている。
その二つの顔があまりにもそっくりで、しかも同じように眉毛を八の字に下げてるもんだから、俺は思わずブブッと吹き出してしまった。
！！
まずい…！
あまりのシンクロぶりについ笑ってしまった！
はっとして院長の顔を見ると、彼もまた「ハハハッ」と大きな口を開けて笑った。
ゲラゲラ大笑いしている院長を呆然と見ていると、やがて彼は笑いすぎて出たと思われる涙を指で拭いながら言った。
「ああ、可笑しい…。
二宮くん、きみは実に正直者だ。
気に入ったよ」
「へっ…？」
「面接は合格。
採用するかどうかは領に決めてもらおうか」
「えっ…！？
それって…？」
院長の提案に困惑していると、パーカーの彼が眉を顰めて言った。
「翔くん、駄目だよ。
彼に失礼じゃない」
すると院長は立ち上がって、彼の腕の中の領の頭をよしよしと撫でながら言った。
「だって、領の気に入る人じゃないと。
領の直感は鋭いから。
ね？
智くん、いいでしょ？」
「…翔くんたら」
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作者名：kotorix
| 作成日時：2012年1月29日 11時
