３９．次々と ページ39
「わかりました。
ところで、あの…」
「ん？」
「大野さんが別人みたいなんで、びっくりしました。
いや…その、なんというか、スーツ姿なんて想像もしてなかったんで」
「ハハハッ、そうでしょ？
普段は人一倍ぽやっとしてるからね」
翔さんが面白そうに笑った。
「風呂敷包み、重そうでしたね。
っていうか、いまどき風呂敷使う人っているんですね」
「あれ、官給品なんだよ。
重いもの入れて持ち歩くから、すぐ駄目になるらしい」
官給品？
役所で風呂敷を配ってるのか。
「それはそうと」
翔さんが立ち上がった。
「食材買うお金の説明してなかったね。
適宜ここに現金を入れておくから、自由に使ってね。
その他、シャンプーとか洗剤とかの日用品も、
なくなりそうだったら気が付いた人が買って来ることになってる。
その場合もここのお金で精算してね。
簡単でいいので、出納帳への記載もよろしく」
翔さんはリビングボードの引き出しを開けて、ここ、と指差した。
あんなとこに現金入れっぱなしなんだ。
確かにここの人はみんな仲がよくて家族的な感じはするけど、金銭面でも、まんま『家族』じゃん。
翔さんってホント、疑うことを知らない人なんだな。
「わかりました」
「ああ、それと」
翔さんが付け加えた。
「俺にも敬語使わないでよ。
フレンドリーにいこうよ、フレンドリーに」
「はあ。
じゃあ、そうし……そうするね」
「おっ！いいねぇ(笑)
大野さんにもそれでいいからね」
「う、うん。了解」
翔さんは満足そうに微笑むと、ソファに座って新聞を読み始めた。
やがて、相葉さんと潤くんも降りてきた。
「おはよっ！」
「おはよー…」
相葉さんは何が嬉しいのかわからないけど、今日も朝からハイテンション。すごい張り切ってる感じ。
潤くんはまだ眠そう。
それにしてもこの下宿、若い男ばっかりなのに、みんな結構早起きなんだな。
俺は、朝ご飯より睡眠が優先で、ギリギリまで寝てるタイプだったから、朝食摂取率１００％というのが驚きなんだけど。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1351人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kotorix
| 作成日時：2012年1月29日 11時
