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第45話 ページ47

ガンっ

ドアを蹴破る、鈍い音がした。

そして、ザッザッと早足にこっちに近づいて来る音がする。

「…ッ」

心臓を鷲掴みにされたようだ。この様子だと、近づいてくる人はあの天人に会っている。

どうなる?尋問?拷問もありえるだろうか。
天人が春雨にとってどんな人物なのかは分からないが、敵だった場合、私は彼を売るしかなかった。

しかしそれでは、私は明日、殺される。

どうする。どうすればいい。

夜兎である彼らを、天人である彼らを。
海賊である彼らを、私は騙せるだろうか?

「…A」

あの足音の主は、神威だった。

笑顔は消え、彼らしくない。
真剣そのものと言えるその顔は、怖かった。

「…なんでしょうか?神威さん」

にこり、微笑む。

よくできた笑顔だと思う。
この状況で、笑えた私は凄い。

ばきんっ。

鉄格子のうちの一本が、折れた。
さっきまで柱だったはずの欠片が、彼の掌から粉となってパラパラと落ちる。

「ーーーーーこっちに、来て」

「ーーーーーはい」
(嫌だ。嫌だ。今の彼に触れられたくなど、無い)

近づいて、首を掴まれたらどうする。鉄格子のように、なってしまうではないか。

逆らうわけにもいかない。だが、死にたくなどなかった。

笑う膝を叱咤して、進む。
ガクガクと震える足を、彼にばれてはいけない。

「ーーーーー目を、見せて」

彼の攻撃の射程範囲に、私は入ってしまった。
吉原で目を抉られた男が、頭に浮かぶ。

彼は目を抉られた直後、その事に気づけないでいた。

(ーーーー死にませんように)

ひたり。

瞼と目の下に、神威の白い指が触れる。
しかし、それ以上彼は何もしようとしなかった。

ただ、じっと私の瞳を見ている。
彼の青い瞳は、今更だが、とても綺麗だった。

彼の瞳に映った自分は、相変わらずの笑顔を浮かべている。



三つの面を持つ天人は、想う。
地球から連れてこられた遊女のことを。

黒い瞳に黒い髪は美しく、凛とした立ち振る舞いは芯があって奥ゆかしい。
そしてなりよりも、彼女の「種」に理由があった。

天人は多種多様だ。
それは純血のものから混血のものまで様々で、能力も身体能力も違う。

何百年も前に、一人の女鬼がいた。
鬼とは、地球では悪人、化け物の例だろうが。

この広い宇宙では、鬼とは『迫害された者』のことを指す。

一人の女鬼がいた。
彼女は、地球の男を食べたのだ。
雌の鬼は雄を食べ子を作り、その腹の中に何十年も子を宿す。

より子供を強くするためだ。

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飴崎 - ルーンさん» ありがとうございます〜。現状維持できるように頑張ります! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
飴崎 - 英さん» ありがとうございます!今すぐ取り掛からせていただきますね! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
飴崎 - バトラッシュさん» 頑張らせていただきます!読んでくださって本当にありがとうございます! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
ルーン - とても面白いです!続編楽しみに待ってます! (2015年1月22日 2時) (レス) id: 04550145ac (このIDを非表示/違反報告)
- 面白かったです!続編楽しみに待っています! (2015年1月21日 7時) (レス) id: b6fd32bf94 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飴崎 | 作成日時:2012年8月6日 14時

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