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第34話 ページ36

「うーい。じゃあお嬢ちゃん行くぞー」
「ぅ、え?わッ」

銀髪の男に腕をつかまれ、引き寄せられる。

立たせて貰った後、早足に部屋の外に連れてかれる。

障子が開かれ、近藤も山崎も沖田も土方も見えなくなる、その直前。

「疑って悪かったな」

そう言う、土方の声が聞こえた。



銀髪の男と別れた後、私は再び、昼に来た場所を訪れた。

どうやらここ辺りはスラム街の一角のような場所で、古い長屋が軒を連ねている。

明らかな空き家もあるようで、雨風に吹き荒らされた様がありありと伺える。

その中で、生々しいほどの白い肌を持つ男が、二人。

影の中、その存在は異物のようだ。

小さいスペースに大きなピースを無理矢理はめ込んだような違和感が背中を伝う。

昼に差していたはずの和傘は、今は各自の腰に納められていた。

真剣の位置に和傘があることからして、武器にでも使うのだろうか。

昼間は調子が悪そうだった彼らだが、今ではそうでもないらしい。

日光に弱い種族だったりするのだろうかとも思いながら、私は彼らに歩み寄る。

首を縄で締め付けられるような危機感があった。

「…意外だなぁ。逃げちゃうと思ったけど」
「…信用されてないんですね」

少し挑戦的に言うと、彼は目を瞬いた。次に、愉快そうに笑う。

「―――ふぅん」

品定めするような視線にぞっとした。

地雷を踏んでしまったかのような、嫌な感じだ。

少しでも動いたら、死ぬ。

「…すみません、口が過ぎました」

弱々しい声で謝るが、彼は気にしてもいないらしかった。

踊るように踵を返し、夜でも電飾に囲まれたようなターミナルを見上げる。

「『鬼は変わらぬもの。変わってはならぬもの』」

「…え?」

「なんでもないよ。…行こうか?」

聞き取れたが、意味はわからなかった。

何かの神話の台詞だろうかとも思うが、詳しくは話してくれないらしい。

三つ編みが上下に揺れる。彼は、そんなに大柄では無いはずだ。それなのに。

背中には、絶対的な、何かがある。

宇宙へ行ってしまっては、私は逃げられない。
どんな暴力も、仕打ちも、耐えるしかない。

自ら死ぬことだけは、絶対にごめんだ。

鷹の目をしたあの女は、殺されるぐらいならばと自決した。
自身の首に縄をかけ、自らを吊ったのだ。

私を、潰れた芋虫のように見下し切っていたあの瞳は、今や白濁している。

…………ざまぁみろだ。

私は、彼らの後をついて行った。

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飴崎 - ルーンさん» ありがとうございます〜。現状維持できるように頑張ります! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
飴崎 - 英さん» ありがとうございます!今すぐ取り掛からせていただきますね! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
飴崎 - バトラッシュさん» 頑張らせていただきます!読んでくださって本当にありがとうございます! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
ルーン - とても面白いです!続編楽しみに待ってます! (2015年1月22日 2時) (レス) id: 04550145ac (このIDを非表示/違反報告)
- 面白かったです!続編楽しみに待っています! (2015年1月21日 7時) (レス) id: b6fd32bf94 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飴崎 | 作成日時:2012年8月6日 14時

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