第34話 ページ36
「うーい。じゃあお嬢ちゃん行くぞー」
「ぅ、え?わッ」
銀髪の男に腕をつかまれ、引き寄せられる。
立たせて貰った後、早足に部屋の外に連れてかれる。
障子が開かれ、近藤も山崎も沖田も土方も見えなくなる、その直前。
「疑って悪かったな」
そう言う、土方の声が聞こえた。
◇
銀髪の男と別れた後、私は再び、昼に来た場所を訪れた。
どうやらここ辺りはスラム街の一角のような場所で、古い長屋が軒を連ねている。
明らかな空き家もあるようで、雨風に吹き荒らされた様がありありと伺える。
その中で、生々しいほどの白い肌を持つ男が、二人。
影の中、その存在は異物のようだ。
小さいスペースに大きなピースを無理矢理はめ込んだような違和感が背中を伝う。
昼に差していたはずの和傘は、今は各自の腰に納められていた。
真剣の位置に和傘があることからして、武器にでも使うのだろうか。
昼間は調子が悪そうだった彼らだが、今ではそうでもないらしい。
日光に弱い種族だったりするのだろうかとも思いながら、私は彼らに歩み寄る。
首を縄で締め付けられるような危機感があった。
「…意外だなぁ。逃げちゃうと思ったけど」
「…信用されてないんですね」
少し挑戦的に言うと、彼は目を瞬いた。次に、愉快そうに笑う。
「―――ふぅん」
品定めするような視線にぞっとした。
地雷を踏んでしまったかのような、嫌な感じだ。
少しでも動いたら、死ぬ。
「…すみません、口が過ぎました」
弱々しい声で謝るが、彼は気にしてもいないらしかった。
踊るように踵を返し、夜でも電飾に囲まれたようなターミナルを見上げる。
「『鬼は変わらぬもの。変わってはならぬもの』」
「…え?」
「なんでもないよ。…行こうか?」
聞き取れたが、意味はわからなかった。
何かの神話の台詞だろうかとも思うが、詳しくは話してくれないらしい。
三つ編みが上下に揺れる。彼は、そんなに大柄では無いはずだ。それなのに。
背中には、絶対的な、何かがある。
宇宙へ行ってしまっては、私は逃げられない。
どんな暴力も、仕打ちも、耐えるしかない。
自ら死ぬことだけは、絶対にごめんだ。
鷹の目をしたあの女は、殺されるぐらいならばと自決した。
自身の首に縄をかけ、自らを吊ったのだ。
私を、潰れた芋虫のように見下し切っていたあの瞳は、今や白濁している。
…………ざまぁみろだ。
私は、彼らの後をついて行った。
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飴崎 - ルーンさん» ありがとうございます〜。現状維持できるように頑張ります! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
飴崎 - 英さん» ありがとうございます!今すぐ取り掛からせていただきますね! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
飴崎 - バトラッシュさん» 頑張らせていただきます!読んでくださって本当にありがとうございます! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
ルーン - とても面白いです!続編楽しみに待ってます! (2015年1月22日 2時) (レス) id: 04550145ac (このIDを非表示/違反報告)
英 - 面白かったです!続編楽しみに待っています! (2015年1月21日 7時) (レス) id: b6fd32bf94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飴崎 | 作成日時:2012年8月6日 14時